映画監督・平野勝之のフィルモグラフィー&解説集『「監督失格」まで 映画監督・平野勝之の軌跡』(ポット出版刊)の中で取り上げられた作品を中心に、平野監督自らナビゲーターとなり「ぜひ劇場で観てほしい!」と選りすぐったAVから8mm、他レア映像など何が飛び出すか分からない月例上映会。
『劇場版 テレクラキャノンボール2013』『劇場版 BiSキャノンボール2014』などのカンパニー松尾率いるハマジムで、比較的近年に制作された平野作品2本、初の劇場公開です。どちらもAVの可能性を追求したハマジム精神で制作された自信作かつ、スキャンダラスな事実に愕然とする2本立てです。
【解説】SMがやりたくてAV業界に入った美女、桐島千沙だったが、人妻ドラマばかりの仕事で欲求不満。そんな彼女の夢を叶えるべく、SM現場をセッティングする平野とハマジムスタッフだが…話は思わぬ方向に進み、SM行為からトランス状態になった彼女は、自殺の目撃談から、ついには多重人格となり、異常な精神世界が露呈されていく。精神医学の教授から問い合せまであった問題作。AVサイコホラー、初の劇場公開。
「これは思わぬ事に、AVで本格的なサイコホラーが撮れてしまった珍しい作品です。仕上げの時に、ホラーの要素と共に、音楽の、ダブの手法を導入してみました。まあ、映像のトランスですね。もうひとつなんとなくヒントにしたのが、昔見て、気持ち悪い印象が残っている映画「去年マリエンバートで」です。こういう感じってどうすればいいのかな?って作りました。SMって、実はとても精神的に深い部分まで入ってしまう事があるので、本格的なのはとても危険なんですよ。これ見るとわかると思います」(平野)
自分の弟と気軽にセックスした事があると、あっけらかんと語る、売れっ子AV女優、吉岡奈々子。そんなカジュアル近親相姦?の実態に迫ろうと、企画を立てる平野だったが、これまた話は急転直下、思わぬ方向に展開していき、カンパニー松尾、バクシーシ山下、ペヤンヌマキ、ハマジムスタッフ、総出で、世界初の本物近親相姦の撮影に挑む事になる。本物の弟が出演し、実際の様子がドキュメントされていくが、近親相姦のイメージが根底から覆される問題作。一方で爆笑のスリリングな展開が待っていた。見てのお楽しみ。
「これは、自分的には思い出したくもない(笑)監督NGを食らった苦い思い出の品です。でもね、簡単にあきらめるわけないじゃない、このオレが。あのテこのテですよ。相手が悪かったね(笑)まあ、そこまでしてでも、この厳然たる事実は押さえたかったわけです。みんな、近親相姦っていうと、暗い、ドロドロしたドラマを思うんだろうけど、ここに描かれてる事を知ると、そういうイメージが木っ端微塵に吹き飛びます。こういう事は、何と言われようと、人類のために記録しておくべきだ、と、ハリキったんだけど、こん時は裏目に出ました(笑)。おもしろいから見るべし」(平野)
自分的には「ただの映画」だと思ってます。
映画って、笑えて泣けて、ハラハラして面白くて、時には怖かったりグロだったり、憧れたり、美しかったり、考えさせられたり…。
自分にとっての「映画」とはそういうものです。
ただひたすら、そういうものを目指した「映画」がここにはあります。
みなさん、どうぞご賞味ください。
平野勝之
★今後のスケジュールも決定次第アップ致します。ご期待ください!
著:平野勝之、柳下毅一郎
発行:ポット出版
希望小売価格:2,800円 + 税
四六判 / 432ページ /並製
ISBN978-4-7808-0198-9 C0074
★劇場でも販売します!