この映画について
プロダクションノート
本作は、監督・脚本・主演のヴァレリー・ドンゼッリと脚本・主演のジェレミー・エルカイムの二人とその子供に起こった実話であり、主役の親子三人を演じているのも本人達である。(息子のアダムは8歳の役のみ本人)
スタッフはヴァレリーとジェレミーの知人ばかりを集めた。撮影監督と録音技師は『彼女は愛を我慢できない』のセカンドユニットの2人。スタッフを最小限の人数におさえたため、みんなが掛け持ちで作業をした。
また、病院というものの現実や真実にきちんと根ざした映画を作りたいとの意向で、セットを作らず、実際に二人の息子が治療した病院で撮影し、エキストラを使わず、実際にそこにいる人たちを撮った。映画全体でも、ほとんど実際の場所をそのまま使っており、違うのは改修中のアパートの部屋と冒頭のジュリエットとロミオのアパートのみ。
実際の病院では目立たない方法で撮影することが第一だったため、撮影は自然光の中でキャノン5Dのスチールカメラで行われた。
35ミリで撮った唯一のカットは、ラストシーンのみ。美しいスローモーションが必要だったためだと監督は言う。
音も現実の音を使用している。雑音を含めたリアリズムを残すため、あえてあまりクリーンにせず、音楽の何曲かはステレオサウンドだがそれ以外はすべてモノラルで、観客がストーリーに集中して、映画から気をそらさないよう気をつけた。ナレーションを複数の人物が担当しているのは、リレー朗読のような雰囲気を出したかったからだという。
子供の起用に関しては、当初友人の子供の起用を考えていたが、撮影の20日以上もスタンバイさせられるわけではないため、オーディションを行った。今回アダムを演じているセザールは、もともと両親がブログに写真をアップしていたら、たくさんの広告代理店やキャスティングエージェントから連絡が殺到したものの、ずっと断り続けていたという。ただ本作に関してはキャスティングディレクターのカレン・オトワが電話をかけて『わたしたちの宣戦布告』のストーリーを話したところ出演OKが出た。
編集は直感と微妙なさじ加減が必要で、ものすごく大変だったと監督は言う。配分を間違えれば、ワンシーン、ワンカットが一瞬にして全体のバランスを崩しかねないという状況下で、重要なのは、話の緊張感を損なうことなくいかにしてコミカルな要素を組みこむかということだった。
完成した映画はフランスで大ヒットし、アカデミー賞外国語部門のフランス代表、セザール賞作品賞を始めとする6部門にノミネート、2011年カンヌ国際映画祭では批評家週間オープニング作品として上映された。