アフガニスタン紛争
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件の首謀者として指定された「アルカイダ」の引き渡しに応じなかったタリバン政権に対し、アメリカ合衆国が主導する有志連合諸国および北部同盟(2001年以降はアフガニスタン暫定政府、2004年以降はアフガニスタン政府)がアフガニスタンにおいてタリバン勢力、アルカイダ、およびその他の武力集団との間で行われている武力衝突。
キャンプ・アルマジロ
アフガニスタンの前線に置かれた対タリバン基地。ISAF(国際治安支援部隊)として、デンマーク軍とイギリス軍による計200名の駐留キャンプ。
PSO
Peace Support Operations/国際平和活動。国際連合憲章の目的と原則を追求するために、外交・文民・軍事の手段を公平に用いて平和の回復と維持の目的で行われる、広義での平和活動の総称。国連による平和維持活動(PKO)もPSOの一種として捉えられる。
PKO
United Nations Peacekeeping Operations/国際連合平和維持活動。各国が国連総会または安全保障理事会の決議に基づき、自発的に小規模の軍隊やその他公務員などを派遣し、紛争後地域の平和維持など「国際的平和及び安全を維持する」活動である。
従来は、紛争当事国の同意を前提に派遣されていたが、冷戦後は必ずしも同意を必要とせずに派遣する例もある。
平和維持活動に含まれる任務は、軍事作戦から民事作戦まで非常に幅広い。活動に際しては大別して監視と平和維持の二種に類型できる。
監視活動の任務は休戦・停戦の監視拠点を運営することにあり、非武装の将校によって編成される監視団によって行われる。実際には監視団は監視だけでなく、重要な地域の巡察、敵対者間の交渉、特定の調査活動などを行う。監視団が展開される地域に既に平和維持軍が配置されている場合は、その平和維持軍の指揮下に入ることになる。
平和維持の任務は兵力引き離し、撤退監督などによって平和を維持することであり、武装した軍人で編成される国際連合平和維持軍によって行われる。具体的には、諜報活動、対ゲリラ作戦、外交援助、紛争当事者の調停、停戦および休戦の監視、兵力引き離し監視、戦争犯罪の調査、戦犯引き渡し監督、戦犯被疑者の逮捕、選挙監視、非武装地帯の建設維持、避難民の移動、人道救援活動、インフラの復旧などが挙げられる。
ISAF
International Security Assistance Force/国際治安支援部隊。国際平和活動のひとつ。タリバン政権崩壊後の2001年末、国連安保理決議の採択を受け、カブール市とその周辺地域の治安維持及びアフガニスタン政府を支援する目的で国連加盟国によって構成された多国籍軍。
現在はNATO(北大西洋条約機構)が主導し約50カ国(NATO外22カ国)が参加、総数は約13万人。部隊の中心は米兵で約9万人がアフガンに駐留。ISAF及びその他部隊の死者数は合計3,225人に上っている(2012年11月現在)。
作戦本部はアフガニスタンのカブール、司令本部はオランダのNATOブルンスム統合軍司令部に置かれ、治安維持や国軍、警察の訓練、民軍協力プロジェクトの調整、政府の治安分野改革(非合法武装集団の解体、麻薬対策等)の支援等を任務としている。
現在もタリバンによる攻撃が続いているが、NATOは2014年末までにISAFの戦闘任務を完了する方針で、地元当局への治安権限移譲が進行中である。
デンマークの軍事
18歳から32歳までの男子を対象に徴兵制が敷かれている。現在の兵役期間は4ヵ月となっているが、4ヵ月経過後に希望者は期間延長が可能。なお、良心的兵役拒否が認められており、代替役務が制度化されている。兵員数は2万5000人。それに加えて、予備役1万2000人と郷土防衛軍5万1000人がいるので、有事の際には合計8万8000人ほどまで兵力を準備できることになっている。(日本の自衛隊員数は約23万人/*平成21年版防衛白書より)
国連の役割を重視し、PKO活動、開発援助及び人権分野で積極的に活動を行ってきている。2005~2006年には安保理非常任理事国として、アフリカ紛争予防・解決に積極的に取り組む方針を示した。
―国際平和協力
1948年以来、デンマークは国際平和協力の一環として、世界の紛争地域等に延べ6万人以上を派遣しており、2011年央時点で、アフガニスタン、バルカン地域をはじめとし1,200名超の部隊要員等を派遣している。そのうちPKO等国連活動へは、レバノン、イラク、スーダン、中東・アフリカ地域等に派遣している。 また、ソマリア沖海賊取り締まり・商業用船舶保護のため、軍艦一隻をソマリア沖に派遣している(2011年12月から2012年2月までは、哨戒機1機も派遣していた)。
―NATO
中立政策にもかかわらず独立を維持できなかった第2次大戦の経験(1940~1945年ナチス・ドイツ軍が占領)から、デンマークは1949年NATOに加盟した(原加盟国)。その後も政府及び国民の多数がNATO加盟を支持している。国連安保理決議1973に基づく対リビア行動では、F-16戦闘機や支援要員(100名超)等の軍事貢献を行った。ラスムセン現NATO事務総長は,元デンマーク首相(2001~2009年)。
―イラク
デンマークは一貫して米国支持の姿勢を明確にし、英、豪とともに米国主導の対イラク軍事行動に参加したほか、イラク南部に約460名の安定化部隊を派遣し、治安維持、地雷処理等を実施するなど復興・人道支援にも積極的に貢献してきたが、2007年7月に撤退し、以降も開発援助を継続している。
―アフガニスタン
国際治安支援部隊(ISAF)に約720名を派兵中(2012年7月現在)。デンマーク政府は、これまで派遣国のうち人口比最大とされる42名の死者(2012年4月現在)を出しながらも、国民の幅広い支持の下、引き続きアフガニスタンの治安向上・安定化のための支援を継続するとしている。デンマークのアフガニスタン支援は、人権(特に女性の権利等)・民主化、行政改革、教育、保健、地方の生活環境改善、難民・国内避難民支援、人道支援を重点分野として、ヘルマンド県を中心に実施しており、PRT(地方復興チーム)にも貢献している。日本が主導しているDIAG(非合法武装集団の解体)のドナー国でもある。
PRT
Provincial Reconstruction Team/地方復興チーム。大規模な戦闘終結後の治安の悪い地域での復興を助けるための国外勢力による組織であり、アフガニスタンとイラクに個別に存在する。
2001年末、あるいは2002年初頭にアメリカ合衆国政府によってアフガニスタンに創設された組織が最初であり、軍人、外交官、復興活動の専門家からなる部隊によって、治安の不安定な状況下での復興活動を目的とする。いずれのPRTも理念と目的は同じであるが、組織構成と任務は異なっている。現地政府の国土統治能力を高めることを共通の目的とする。PRTは、もともとアフガニスタンの首都カブール以外の地方における復興活動を促進する目的で米軍により創設、運営されてきたが、アフガニスタン復興支援活動へのNATOの参加を受けて、いくつかのPRTの指揮権は米国からISAF下のこれらの国々へ移譲された。
非戦闘員の保護・国際人道法
戦時国際法。非戦闘員とは降伏者、捕獲者、負傷者、病者、難船者、衛生要員、宗教要員、文民であり、これを攻撃することは禁止されている。非戦闘員は保護対象であり、これを無視して危害を加えることは戦争犯罪である。
まず降伏者及び捕獲者は、これを捕虜としてあらゆる暴力、脅迫、侮辱、好奇心から保護されて人道的に取り扱わなければならない。捕虜が質問に対して回答しなければならない事項は自らの氏名、階級、生年月日、認識番号のみである。
また負傷者、病者、難船者も人道的な取り扱いを受け、可能な限り速やかに医療上の措置を受ける。衛生要員、宗教要員も攻撃の対象ではなく、あらゆる場合に保護を受ける。
文民とは、交戦国領域、占領地での 敵国民、中立国の自国政府の保護が得られない者、難民、無国籍者である。全ての文民は人道的に取り扱われる権利があり、女性はあらゆる猥褻行為から保護される。文民を強制的に移送、追放することは禁止されている。
これらは、1949年のジュネーブ諸条約と1977年のジュネーブ条約追加議定書ⅠとⅡにおいて定められている。
IED
Improvised Explosive Device/即席爆発装置。あり合せの爆発物と起爆装置から作られた、規格化されて製造されているものではない簡易手製爆弾の総称。アフガニスタンやイラクで駐留軍相手に猛威を振るう武装勢力の切り札。特にアフガニスタンではイスラム原理主義組織による自動車爆弾での大量破壊を目的とした自爆攻撃以外では、ほとんどこのIEDに切り替わっている。
形状は使用した材料が野ざらしの状態のものから巧みに隠蔽されたものまであり、多くは路肩に駐車してある車や茂みに隠されていて、視認は難しいとされている。
威力は手榴弾程度のものから戦車の装甲を貫通するもの、装甲車自体をひっくり返すほどの威力を持つものまで多岐にわたり、起爆装置も無線、有線、時限、センサーなど統一性がないため、効果的な対策は特に存在しない。
*本編では地面に埋め込まれていたため「地雷」と翻訳した。