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愛について語るときにコビトの語ること【R18+相当】

12月5日(土)18時 上映

日時

12月5日(土)18時 上映

料金

一律¥1,500

詳細 DETAIL

上映後トークショー開催!

12月5日(土)(約30分)
登壇者:真野勝成(本作プロデューサー・撮影・脚本)、佐々木誠(本作共同プロデューサー・構成・編集)、睡蓮みどり(女優・文筆家)

※敬称略
※登壇者は予告なく変更となることがあります、ご了承ください


当事者自ら、命をかけて、
障害を持った者のリアルな「愛」を描いた、
これまでにない骨太かつポップな“多様性”を捉えた異色作

池田英彦が自らの死を意識した時、残り少ない時間を使ってまで「世界」に伝えたかったこととは?
友人であり脚本家の真野勝成と、映画監督・佐々木誠(『ナイトクルージング』『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』)によるプロデュース作品

2016年、神奈川県相模原市役所の職員だった池田英彦が亡くなった。池田は自らを死の直前まで記録撮影しており、その膨大な映像が残されていた。その撮影に協力し、映像素材全てを託された池田の友人で脚本家の真野勝成は、データを整理し、編集することを決意、映画監督の佐々木誠に相談する。その映像には、池田の愛と性の日々、生き様が記録されていた。そして、その中に、この編集を佐々木が行うことがあたかも運命だったと捉えられる映像も偶然記録されていた。

本作品は、四肢軟骨不形成症、いわゆる“コビト”の青年、池田英彦が自らの余命を受け入れ、病と闘いながら亡くなるまでの約2年間を記録したドキュメンタリーであり、虚実皮膜な実験映像であり、恋愛と性愛、そして普遍的な友情を描いた物語だ。
池田英彦が自らの死を意識した時、残り少ない時間を使ってまで「世界」に伝えたかったこととは?当事者自ら、命をかけて、障害を持った者のリアルな「愛」を描いた、これまでにない骨太かつポップな“多様性”を捉えた異色作。

【製作者からのメッセージ】

真野勝成(プロデューサー・撮影・脚本)
本作の監督・主演の池田英彦はスキルス性胃癌のステージ4と診断されて、約2年で亡くなりました。障害者である彼は余命を使い、可能な限り楽しもうと考えました。
その方向は性愛に強く傾いており、映画の内容は丸々彼の愛とセックスをめぐるものです。
では何故、彼はそんな映画を作ろうと思ったのか?
その動機はシンプルで、彼は映画が好きだったのです。
マニアではなかったのですが、ずっと仕事で忙しかった彼が病により時間ができ、僕に「面白い映画をたくさん見たいから教えて」と言いました。職場では「スター・ウォーズ」好きで通っていましたが、役者ではマシュー・マコノヒーが好きになり、ワン・ビン『収容病棟』を見に行ったり、ミニシアターにも足を運ぶようになって行きました。その中でもアップリンク渋谷の雰囲気をとても気に入っており、本作の編集を担当している佐々木誠監督と出会ったのも『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』を観に行ったからです。
死ぬ間際に映画が本当に好きになり、自分で映画を撮ろうと思い立ち、死後の完成と上映を僕に託した彼が言っていたのが「アップリンクで上映できたら夢みたいだね。死んでもいい」ということでした。もとより彼の死を前提に成立し上映される映画なので矛盾した言葉なのですが、存在としても矛盾を孕んでいた彼らしい遺言であり、それが今回実現できました。本望を遂げるというのはあまりない事だと思いますが、映画の内容も場所も池田の話していた通りになったと思っています。池田が「作品」と呼んで遺した映像を是非、ご覧ください。

佐々木誠(共同プロデューサー・構成・編集)
私は本作品の監督であり、主演でもある池田英彦さんと、一度だけしかお会いしていません。5年前にアップリンク渋谷で公開中だった私の作品『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』を観にきていただき、上映後トークの後、受付の前で少しお話しした程度です。そのとき、一緒に来ていた真野さんとはそれが縁で親しくなり、その後、いくつかのプロジェクトを共同で行なっています。池田さんが亡くなったこと、その前に記録映像を残していたことは真野さんから聞いていました。
縁あって、今回、私がその映像を編集し作品にまとめることになりましたが、残された約60時間の映像素材の多くは、池田さんの性愛の記録でした。
私は障害を持った方の性を軸にした作品をいくつか手がけておりますが、実際のセックスそのものを撮ったことはありません。
ちょうど『マイノリティとセックスに関する〜』公開の際に原一男監督と対談をしたのですが、そのとき原監督から、あなたと対象との関係性を考えたら、実際セックスをしている場面を撮れると思うんだけど、なぜそれをしないのか、と問われ、私は「品がないと感じるから撮りたいとは思いません。それを撮ったことで、わかった気になるのも嫌で。見て、撮っただけで、問題の答えが明らかになるとも思えなくて」というような返答をしました。
しかし、池田さんが残した生々しい性交の記録は、全く下品に感じませんでした。
彼が残りの命を考えて起こした「行動」、それを映画作品として残し、多くの人に観てもらいたい、という確固たる想いが編集を通してダイレクトに伝わってきました。私は映像制作、特に編集作業をしている際、感情が揺れることはほとんどないのですが、今回初めて泣きました。
ハンサムで聡明、ユーモアもある池田さんですが、自身の障害を常に意識して生きてこられたんだな、と、そしてそれにケリをつけるためにこの映画を残したんだな、と強く感じました。
池田さんが命をかけて残した本作品をぜひ多くの方に観ていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。

『愛について語るときにコビトの語ること』(2020年/58分/HD/16:9/R18+相当)
企画・監督・撮影・出演:池田英彦
プロデューサー・撮影・脚本:真野勝成(脚本家『相棒』『デスノート Light up the NEW world』)
共同プロデューサー・構成・編集:佐々木誠(監督作『ナイトクルージング』『マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画』)