日時
12月20日(金)~2020年1月2日(木)
料金
一般¥1,500/シニア(60歳以上)¥1,200/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳) ¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/UPLINK会員¥1,000/ユース会員(22歳以下)¥1,000
12月20日(金)~2020年1月2日(木)
一般¥1,500/シニア(60歳以上)¥1,200/ユース(19歳~22歳)¥1,100/アンダー18(16歳~18歳) ¥1,000/ジュニア(15歳以下)¥800/UPLINK会員¥1,000/ユース会員(22歳以下)¥1,000
1990年代に『トラスト・ミー』『シンプルメン』などの名作群を発表し、NYインディーズシーンで独自の地位を築いたハル・ハートリー監督。しかし、こんこんと湧き出るアイデアと「映画を撮れるのはこれが最後かも知れない」という強迫観念から、長編の合間にもあらゆるオファーを受けまくり、16mmフィルムで中編短編を撮りまくっていた。
『トラスト・ミー』のマーティン・ドノヴァンが主演したラブコメディ「サバイビング・デザイアー」、当時の仲間たちが総出演し、エリナ・レーヴェンソンの映画デビュー作にもなった群像劇「セオリー・オブ・アチーヴメント」、マチズモへの皮肉を込めたシュールな怪作「アンビション」、エイドリアン・シェリーとパーカー・ポージーが悪戯好きの女神を演じる奇妙な音楽劇「オペラNo.1」。90年代初頭に製作された中短編4作品が、日本の劇場で初上映される。長編とは趣向が異なる果敢な実験精神と、にじみ出るキュートさを堪能できるハートリーのアナザーサイドだ。
さらに別プログラムとして、一時は永久に封印するつもりだったというデビュー以前の1980年代の短編「キッド」と「地図職人の恋人」を本邦初公開。世界がハル・ハートリーを発見する以前から「ハートリーはハートリー以外の何者でもなかった」ことを証明する、若き日の才能のきらめきを目撃して欲しい。
※本上映は「プログラムA」と「プラグラムB」に分かれています。
「サバイビング・デザイアー」(Surviving Desire/1991年/57分/16mmカラー/HDレストア/Blu-ray上映)
「カラマーゾフの兄弟」の一節しか教えない偏屈な大学教師ジュード(マーティン・ドノヴァン)と、蠱惑的な女子大生ソフィ(メアリー・ウォード)の恋の駆け引きを描いたラブコメディ。『トラスト・ミー』(1990)に続きマーティン・ドノヴァンが主演。同作デ主人公マリアの母親を怪演したレベッカ(メリット)・ネルソンも、誰彼構わずプロポーズする女ホーボー役で登場している。『ウエストサイド物語』を彷彿とさせるダンスシーンや、『アンビリーバブル・トゥルース』や『ブック・オブ・ライフ』に楽曲提供しているハブ・ムーアが自らのバンドThe Great Outdoorsで出演しているのも見もの。
監督・脚本・音楽:ハル・ハートリー
撮影監督:マイケル・スピラー
出演:マイケル・ドノヴァン、メアリー・ウォード、マット・マロイ、レベッカ・ネルソン
「セオリー・オブ・アチーヴメント」(Theory of Achievement/1991年/18分/16mmカラー/HDレストア/Blu-ray上映)
家賃が安い90年代初頭のブルックリンに住み着いたアーティスト志望の若者たちの賑やかな一日を描いた、ハートリー版「ラ・ボエーム」と呼ぶべき群像コメディ。当時のハートリーの仲間たちが大挙出演しており、主演は『キッド』にも出演しているボブ・ゴッシ。後に『シンプルメン』で脚光を浴びるエリナ・レーヴェンソンの映画デビュー作でもあり、ビル・セイジとの相性を見るためのオーディションを兼ねていたという。まるでゴダールのようないでたちで映っているのは、近年テレビドラマを中心に活躍している映画監督ニック・ゴメス。
監督・脚本・音楽:ハル・ハートリー
撮影監督:マイケル・スピラー
キャスト:ボブ・ゴッシ、ビル・セイジ、エリナ・レーヴェンソン、ニック・ゴメス
「アンビション」(Ambition/1991年/9分/16mmカラー/HDレストア/Blu-ray上映)
男らしさや富や名声を求めずにはいられない、古典的なアメリカンドリームを皮肉ったような哲学的な実験作。あらゆる成功を渇望する男のアンビバレントな妄想が、気の抜けたようなアクションを交えたシュールなタッチで描かれる。主演のジョージ・フィースターはハートリーとはNY州立大学パーチェス校の同窓で、今回上映される初期短編のうち4本に出演している常連だった。近年も俳優、ミュージシャン、ビデオゲーム「グランド・セフト・オートⅣ」のモーションキャプチャーパフォマーなど、多彩な活動を続けている。
監督・脚本・音楽:ハル・ハートリー
撮影監督:マイケル・スピラー
キャスト:ジョージ・フィースター、パトリシア・サリヴァン
「オペラNo.1」(Opera No.1/1994年/9分/16mmカラー/HDレストア/Blu-ray上映)
ローラーブレードを履いた2人の女神が、退屈しのぎに人間の男女を恋に落ちさせて弄ぼうとするが、思わぬ人違いが起きてしまい……。オペラの形式を借りて繰り広げられる束の間のから騒ぎを描いたドタバタミュージカル。女神を演じたのは『アンビリーバブル・トゥルース』『トラスト・ミー』のエイドリアン・シェリーと、『ヘンリー・フール』『フェイ・グリム』のパーカー・ポージー。2006年に世を去ったエイドリアン・シェリーにとっては最後のハートリー作品への出演となった。
監督・脚本・音楽:ハル・ハートリー
撮影監督:マイケル・スピラー
キャスト:エイドリアン・シェリー、パーカー・ポージー、ジェームズ・アーバニアク、パトリシア・ドゥノック
「キッド」(Kid/1984年/29分/16mmカラー/HDレストア/Blu-ray上映)
ハートリーがNY州立大学パーチェス校の課題として製作した真の処女作。去ってしまった元恋人が忘れられず、後を追う決意をした青年ネッドだが、次々と邪魔が入ってなかなか町から出られなくなる。ハートリーの故郷リンデンハーストで撮影されており、『アンビリーバブル・トゥルース』『トラスト・ミー』でもおなじみの風景が登場。アコーディオンの腕前を披露する少を演じたジャニーン・エリクセンは、撮影当時は7、8歳くらいだったというハートリーの実の従姉妹。
監督・脚本・製作・音楽:ハル・ハートリー
撮影監督:マイケル・スピラー
キャスト:リッキー・ルドウィグ、カレン・サイラス、ジョージ・フィースター、ジャニーン・エリクセン、ボブ・ゴッシ
「地図職人の恋人」(The Cartographer’s Girlfriend/1987年/29分/16mmカラー/HDレストア/Blu-ray上映)
趣味の地図作りに没頭する測量士のアパートに、見知らぬ美女が押しかけてきて住み着いてしまう。運命の恋に翻弄される不器用な男の右往左往を描く。劇中で主人公ボブと友人ジョージが女性について語り合うシーンは、もともとは『シンプルメン』の1シーンとして想定されていたもの。ハートリーが80年代に働いていた映像制作会社アクション・プロダクションズの事務所に放置されていた使用期限切れの16mmフィルムを無償で譲り受けて、日常業務の合間を縫って製作された。
監督・脚本・製作・音楽:ハル・ハートリー
撮影監督:マイケル・スピラー
キャスト:スティーヴン・ガイガー、マリッサ・チバス、ジョージ・フィースター、カレン・サイラス
スタッフ・キャスト
1959年、ニューヨーク州リンデンハースト生まれ。NY州立大学パーチェス校で映画製作を専攻し、『アンビリーバブル・トゥルース』(1989)でデビュー。続く『トラスト・ミー』(1990)と『シンプルメン』(1992)で人気を確立し、1997年にはカンヌ映画祭に『ヘンリー・フール』を出品して脚本賞を受賞。アマゾンプライムビデオのドラマシリーズ「レッド・オークス」ではエピソード監督を担当した。自作の音楽も手がけており、初期は「ネッド・ライフル」という別名義を使用していた。近年はクラウドファンディングによって旧作を復刻し、自身のプロダクション「ポッシブルフィルムズ」から日本語を含む五カ国語字幕を付けてリリースするプロジェクトを進めている。
キャスト:
マーティン・ドノヴァン(『トラスト・ミー』 『アントマン』)
エイドリアン・シェリー(『トラスト・ミー』 『ウェイトレス~おいしい人生のつくり方』)
パーカー・ポージー(『ヘンリー・フール』 『バッド・チューニング』)
エリナ・レーヴェンソン(『シンプルメン』 『シンドラーのリスト』)
ビル・セイジ(『シンプルメン』 『肉』)
カレン・サイラス(『トラスト・ミー』 『シンプルメン』)
メアリー・ウォード(『スモーク』 『高卒物語』)
配給:ポッシブルフィルムズ