福島県、本宮市。小さな町の路地奥に築101年の映画館、本宮映画劇場は在ります。50年前に一度は閉館するものの、「いつか再開させたい」と館主・田村修司さんが映写機に欠かすことなく油を差し、館内の手入れを続け、現役当時の状態を維持し続けました。
田村さんの映画館への愛情と築101年の劇場が、メディアを通して徐々に知られるようになると、地元はもちろん全国からも多くの見学者が訪れ、いまでは「場末のシネマパラダイス」と呼ばれ映画ファンに愛されています。(今でも不定期で上映イベントなど開催中)
実はそんな劇場と同様に映画ファンをシビれさせるのが、これまた奇跡の状態で保存されている館主・田村修司さんのフィルム&ポスターコレクションです。
本展は芸歴70年の浪曲師・港家小柳の記録映画『港家小柳IN-TUNE』の公開を記念し、本宮映画劇場で昭和30年代に興行した(三波春夫、村田英雄、二葉百合子、伊丹秀子などが過去に出演しているそうです)浪曲のポスターを展示致します。普通に生活してたら、まずお目にかかれない、見る人によっては大変貴重なポスター。是非ポスターから滲み出る「その時代の味やにおい」もあわせてご高覧ください。
『本宮映画劇場』(旧『本宮座』)について
1914年(大正3年)創建。町の有志が集まり、『本宮座』として開業したのがはじまり。それまでなかった地域の人々が集まる公民館や文化センターのような役割を担う。歌舞伎、大衆演劇、浪曲、歌謡ショー、プロレス、選挙演説、映画など興行内容は多岐にわたった。
昭和の浪曲師 南條文若(後の三波春夫)と木村友春はかつて二枚看板で本宮座の舞台に立っていた。他にも、梅沢清劇団(梅沢富美男の父)、村田英雄、二葉百合子、春日八郎、岡晴夫、かしまし娘、菅原つづこ、津村謙など、舞台に立った演者には蒼々たる名前が残されている。戦後は浪曲と大衆演劇が大いなる人気を得ていた時期であった。
現在は常設館ではなく、不定期で上映会を開催。
なお、本宮映画劇場については、都築響一著『独居老人スタイル』(ちくま書房)に詳しく紹介されています。
『港家小柳IN-TUNE』
10月19日(月)~30日(金)まで渋谷アップリンクにて公開
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