監督:ティム・グラバム/ジャスパー・シャープ
撮影:ティム・グラバム
音楽:ジム・オルーク/Woob
編集:ティム・グラバム
調査・インタビュー:ジャスパー・シャープ
プロデューサー:ティム・グラバム/ジャスパー・シャープ
キャスト:マーク・プラグネル/ヘザー・バーネット/ブリン・デンジャー/ティム・ブーン他
粘菌 ── 脳も神経も持たないが、変形菌とも言われる通り、いくつもの変身を遂げ、外的刺激が与えられると複雑で特異な論理的行動を起こす、美しき生きもの。この動物とも植物とも思えぬ生物が、様々な色や形をとりながら、内部でどのような反応を起こし、いかなるシステムを持つのか、その謎に迫った驚異のドキュメンタリー。本編では、粘菌がコンピュータや人工知能などテクノロジーへ与える影響や、粘菌の行動を体験するパフォーマンス、粘菌による音楽など多岐に渡るアプローチで不可思議な生命との関わりを描いてゆく。サウンドトラックは「ソニック・ユース」のメンバーだったことでも知られるジム・オルーク。映画研究家でもある二人の監督が『フェイズⅣ 戦慄!昆虫パニック』(1974年/ソール・バス)や『アンドロメダ・・・』(1971年/ロバート・ワイズ)にオマージュし、ミクロな有機的映像体験を生み出した。
2015年モントリオール・ファンタジア国際映画祭正式出品
2015年Hot Docsカナダ国際ドキュメンタリー映画祭正式出品
2014年オースティン・ファンタスティック映画祭最優秀ドキュメンタリー監督賞受賞
2014年メキシコ・モルビド映画祭ブロンズ・スカル特別賞受賞
2015年ポーランド・T-モバイル/ニューホライゾン国際映画祭グランプリ・ノミネート
他出品多数
中沢新一 (人類学者)
明治大学特任教授/野生の科学研究所所長。1950年山梨県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士過程満期退学。チベットで仏教を学び、帰国後、人類の思考全域を視野にいれた研究分野(精神の考古学)を構想・開拓する。著書に『チベットのモーツァルト』(サントリー学芸賞)、『森のバロック』(読売文学賞)、『フィロソフィア・ヤポニカ』(伊藤整文学賞)『カイエ・ソバージュ』全5巻(『対称性人類学』で小林秀雄賞)、『アースダイバー』(桑原武夫学芸賞)、『野生の科学』、『熊楠の星の時間』など多数。これまでの研究業績が評価され、2016年5月に第26回南方熊楠賞(人文の部)を受賞。近著に『虎山に入る』、『熊を夢見る』(共に角川書店)、『アースダイバー 東京の聖地』がある。
中垣俊之 (博士)
北海道大学電子科学研究所知能数理研究分野教授。1963年愛知県生まれ。北海道大学薬学部卒、同薬学研究科修士課程修了。名古屋大学人間情報学研究科博士課程修了。研究分野は物理エソロジー。2008年イグ・ノーベル賞認知科学賞、2010年イグ・ノーベル賞交通計画賞を受賞。2011年にはNHKテレビ番組「爆笑問題の日本の教養」より第1回爆ノーベル賞を授与される。著書に『粘菌 その驚くべき知性』(PHP)、『粘菌 偉大なる単細胞が人類を救う』(文藝春秋)、『かしこい単細胞 粘菌』(福音館書店)など。
ジャスパー・シャープ
ロンドンに拠点を置く作家、映画評論家、映画歴史家。日本映画の専門家として国際的に有名。日本映画ウェブサイト「MidnightEye」の設立者兼共同編集長。世界各地で数々の巡回回顧展や映画シーズンのキュレーションを担当。菌類の熱心なアマチュア研究家としての顔も持つ。制作および上映技術の歴史などを研究分野とし、同分野の研究によりシェフィールド大学で博士号を取得。
ティム・グラバム
イギリスに拠点を置く映画制作者、ビジュアルアーティスト、アニメーター。20年以上にわたり短編映画の監督を務める。2003年に独立系スタジオ「cinema iloobia」を設立。日本のサウンドと哲学を感性豊かに描き出した自身初の長編映画「KanZeOn」(2011)は、著名な国際映画祭などで上映された。
※参考書籍『粘菌 知性のはじまりとそのサイエンス: 特徴から研究の歴史、動画撮影法、アート、人工知能への応用まで』
(ジャスパー・シャープ/ティム・グラバム著 監修:川上 新一/発行:誠文堂新光社)