アンゲラ・シャーネレク、渋谷哲也(ドイツ映画研究者)
「ささやかさのドラマ アンゲラ・シャーネレクの映画」
さりげない日常の連なりがアンゲラ・シャーネレク映画で語られる物語の全てである。しかもそこには豊かな光の戯れがあり、はっとするような生々しい音があり、静かに流れてゆく時間がある。そして何よりそこに存在する人間の息遣いがある。映画としての作為性を徹底してそぎ落としてゆく中で、それでも語られるべき劇的なるもののエッセンスが結晶する。とてもささやかな世界を見つめていると、ゴダールやブレッソンやストローブ=ユイレのような≪偉大さ≫は果たして絶対的な価値基準なのだろうかと、ふと考えてみたくなる。映画において自然と人間がこれほど等身大につながる体験をこれまでしたことがあっただろうか。
今回のイベントでは、シャーネレク監督の最新作『はかな(儚)き道』をはじめとして過去の数作品の冒頭場面を参考映写した後、監督自身の言葉を伺いつつ観客からの印象や質問を投げかけるトークセッションとして、この発見の旅の司会と通訳を担当させていただくことにした。
渋谷哲也
関連企画:アンゲラ・シャーネレク監督特集
日程:3/14(水)-3/17(土)|会場:アテネ・フランセ文化センター
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