監督:グエン・チン・ティ
主人公は、熟達した霊媒師(シャーマン・祈祷師)として名高いルー・ノック・ドゥック。その姿を通し、同性愛嫌悪の根強いベトナム社会でゲイ男性やフェミニンな男性がどのように民間信仰の聖母道(Đạo Mẫu)を憩いの場としてきたかを捉えるドキュメンタリー。中国の道教とアニミズム両方の要素をもつ聖母道は昨年12月にユネスコの無形文化遺産に登録され現在注目されている。グエン・チン・ティ(Nguyễn Trinh Thi )の作品は、日本では山形ドキュメンタリー映画祭2011で特別賞を受賞(『柔らかな河、鉄の橋』)、他に福岡アジア美術トリエンナーレや恵比寿映像祭でも紹介された。ベトナムの歴史や記憶をキーワードに、映画だけではなくインスタレーション作品も手がける。ハノイにあるメディアセンターDoc Labの創設者・ディレクターとしてもよく知られている。
(c) Trương Minh Quý
監督:ツン・ミン・クイ
フランス・ロワール川沿い。記憶を失った状態で目覚めたフィルムメーカーが、サバイブする術と自らの正体を探る姿を描いた実験的な物語。劇中、文字や記号もビジュアル的に映し出され、土地、文化、言語や性の境界線がぼやけ始める。主人公を演じる監督トゥロン・ミン・クイは1990年生まれ、ベトナム中部のバンメトート育ち。映画学校を退学し、短編映像を制作しながら独自のスタイルを追求してきた。2016年には釜山国際映画祭で初長編作品を発表し、今後の活躍がさらに注目される。
(c) Normal Screen
写真からパフォーマンスまで幅広いメディアで表現するアーティスト。ポーランドのワルシャワ大学で修士号を所得。のちにハノイでアーティスト集団Nhà Sàn Collectiveに所属し活動する傍ら、Queer Forever!というクィアアートフェスティバルを2013年より開催し、検閲の厳しいベトナムで国内外の作品を紹介しトークイベントなども催している。2014年には日本国際パフォーマンスアートフェスティバル(ニパフ)で来日し東京、長野、宮崎でパフォーマンス作品を発表。今年もニパフに参加し、フェスティバル終了後、本イベントに参加してくれる。