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『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』(森話社)刊行記念特別上映プログラム 変わらぬ日常/湧出するドラマ:現代アメリカン・アヴァンガルド傑作選

詳細 DETAIL

日本上陸50周年!!ケン・ジェイコブスから、ルイス・クラー、ベン・ラッセル等、アメリカン・アヴァンガルドの系譜を受け継ぐ、現代アメリカ実験映画の傑作をセレクト。日本初上映作品を含む7作品を一挙特別上映!

1966年6月に開催された〈アンダーグラウンド・シネマ:日本・アメリカ〉で、アメリカ実験映画が本格的に日本に紹介されてから、今年で50年を迎える。現在では、「実験」あるいは「アヴァンガルド」という言葉には、もはやノスタルジーの印象さえ漂う。アヴァンガルドは過去の産物になってしまったのだろうか?
事態はむしろ逆だ。アメリカ実験映画の系譜は現代に脈々と受け継がれ、近年では上映機会の増加と上映形態の多様化、そして多くの新人作家の登場によって、アメリカのアヴァンガルド/実験映画の状況は、より活発になっている。
このイベントでは、論集『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』(森話社)の刊行を記念して、本書の執筆者の1人で、アメリカを拠点に活動する映像作家/キュレーター・西川智也のセレクションによって、近年アメリカで制作され、国際映画祭等で話題となった作品の中から、特定の地域/空間で繰り広げられる日常、そしてその日常の中で湧き起こるドラマを示唆するような傑作を紹介する、日本初公開作品を含む、一夜限りの特別プログラム。

上映後には、西川智也と、書籍『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』の編者を務めた西村智弘、金子遊の三者によるトークを展開する。

【上映後トーク】

「アメリカン・アヴァンガルドは何をもたらしたのか?」
西川智也(映像作家・キュレーター、本企画プログラム・ディレクター)
西村智弘(映像・美術評論家、『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』編者)
金子 遊(映像作家・批評家、『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』編者)

【上映作品(75min)】

『プラント』The Plant (Mary Helena Clark, 8.5 min, 2012)
監督:メアリー・ヘレナ・クラーク

モノクロとカラー映像による16ミリ作品。望遠レンズは街を徘徊する男を追い、そして見失う。ビル街を背景に行われる男のパフォーマンスは、一種異様でありながら、作家と被写体との関係、また記録する行為と演出との関係をミステリアスに表現する。


『シルヴァー・エイジ』The Silver Age (Lewis Klahr, 9 min., 2015)
監督:ルイス・クラー

12のエピソードで構成されたカットアウト・アニメーション長編作品『Sixty Six』の10番目のエピソード。アメリカン・コミックの登場人物、また背景となる建築写真などによってその土地や時代性を表現しながら、犯罪を匂わすサスペンスドラマを展開する。


『ストリート・ヴェンダー』Street Vendor (Ken Jacobs, 6.5 min., 2012)
監督:ケン・ジェイコブス

ニューヨークの街角でよく見かける屋台を舞台に、手持ちカメラによって撮影された日常風景をポジからネガへ、ネガからポジへと反転を繰り返し、またその映像を反復させる事によって、立体映像と永続的な動きを表現する。


『あなたは私に花を持ってきてくれない』
You Don’t Bring Me Flowers (Michael Robinson, 8 min., 2005)
マイケル・ロビンソン

様々な国の自然や文化の記録写真を掲載する事で知られる雑誌「ナショナルジオグラフィック」の見開き映像によって構成された作品。作品タイトルが表す意味と、フランク・シナトラの歌声が、作品の始めと終わりに現れる写真撮影する男性の映像とともに、秘められたドラマを暗示させる。


『リヴァー・ライツ』River Rites (Ben Russell, 12 min., 2011)
ベン・ラッセル

スリナム共和国を流れる川で撮影された、11分に及ぶワンテイク映像で構成された作品。ステディカムによる映像は、その土地に住む人々の生活を映し出し、ラッセルによる演出とブライアン・チッペンデール(Mindflayer)によるサウンドが、観客をトランス状態へと誘う。


『ウェイワード・フロンズ』Wayward Fronds (Fern Silva, 13min., 2014)
ファーン・シルヴァ

フロリダの湿地帯地域で撮影された映像は、人類と動植物の関わり、語り継がれる寓話と歌、そして環境問題などを想起させ、観客に、この星で生きる全てのものに関わる問題を問いかける。


『私のことを想って』Piensa En Mí (Alexandra Cuesta, 16 min., 2009)
アレクサンドラ・クエスタ

ロス・アンジェルスを走る路線バスを利用して移動しながら、そこで生活する移民達に焦点を当てた16ミリ作品。カメラは、刻々と変わるカリフォルニアの光、いつもの乗客、バスの車窓を流れる街並みを、静かに記録する。

【出演者プロフィール】

西川智也(にしかわ・ともなり)
映像作家・映像キュレーター。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校(ビンガムトン大学)映画学部助教授。アヴァンガルド、実験映画。代表作に『Market Street』(2005)、『Tokyo – Ebisu』(2010)、『sound of a million insects, light of a thousand stars』(2013)など。キュレーターとしてドレスデン短編映画祭、サンフランシスコ近代美術館などで上映プログラムを紹介。


西村智弘(にしむら・ともひろ)
映像評論家・美術評論家。東京造形大学、東京工芸大学、 多摩美術大学非常勤講師。映像史、現代美術。
著書に『日本芸術写真史── 浮世絵からデジカメまで』(美学出版社、2008)、論文に「アニメーションの概念はいかにして変容したか──1960年代初頭のリミテッド・アニメーションから考える」(『多摩美術大学研究紀要』30号、2016)など。


金子 遊(かねこ・ゆう)
映像作家・批評家。慶應義塾大学環境情報学部非常勤講師。映像研究、民族誌学。
著書に『辺境のフォークロア』(河出書房新社、2015)、『異境の文学』(アーツアンドクラフツ、2016)。『クリス・マルケル 遊動と闘争のシネアスト』(共編、森話社、2014)、『国境を超える現代ヨーロッパ映画250』(共編、河出書房新社、2015)など。

主催:UPLINK、森話社 上映協力:アナログメディア研究会


【書籍情報】

『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィ』(森話社)

西村智弘・金子遊=編
11月中旬発売予定

映像美学の極北へ
マヤ・デレン、ペーター・クーベルカ、アンディ・ウォーホル、スタン・ヴァンダービーク、マイケル・スノウ、ロバート・スミッソン、ジェームス・ベニング、ジョナス・メカス───。
世界中からアメリカに集結した才能は、シュルレアリスムからミニマリズム、パフォーミング・アーツ、コンセプチュアル・アートなど、ジャンルの境界を越えて、視覚、身体、媒体の本質を追求し、映像表現のさらなる深化と拡張をもたらした。戦前から現代に至るアメリカ映画/美術のオルタナティヴな系譜を探る。

執筆者(掲載順):
越後谷卓司、金子遊、太田曜、西村智弘、ジュリアン・ロス、阪本裕文、平倉圭、
吉田孝行、西川智也、岡田秀則

価格:3500円+税/四六判上製/368頁
ISBN 978-4-86405-103-3 C 1074

書籍に関するお問い合わせ:
森話社 shinwasha
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