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月刊 平野勝之(第二十九回)2016由美香SAGA(サーガ) ゲスト:柳下毅一郎(映画評論家・特殊翻訳家)

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今年の6月も月刊平野勝之では林由美香さんを取り上げたく思います。
由美香さんが亡くなって早11年。今年は6月26日の命日に上映を行います。
きっといろいろな方のいろいろな林由美香像があると思います。自分の場合、映画「由美香」「監督失格」などのご縁もあり、毎年このような上映会を通じて、年に一回でも彼女の事を思い出すキッカケができれば、と思っております。こういった企画が可能なのも前記2作を軸に、副産物とも呼べる作品が多数存在するからです。今回は上映時間の許す限り、「監督失格」と「由美香」から派生した、普段なかなか見る事ができないアウトテイクとも呼べる作品を、まとめてご覧いただきたく企画してみました。自分がいる限り、林由美香に二度目の死はありません。ぜひ皆様も気軽に遊びに来ていただきたく思います。さみしがりやだったので、こういう作品を上映しつつも、笑い飛ばしたりするのが、本人もアチラの世界で喜ぶだろう、と思っております。

平野勝之

【上映作品】

『おやすみ由美香』(2006年/24分)
2006年に発売された豪華BOX付きDVD「由美香」のために新たに未公開素材から編集された短編。本編には未収録、東京に戻った直後の平野&由美香の様子、また例の最終任務実行の細かい様子が新たに描かれて、笑えつつ、しんみりな短編。(平野)

『由美香2005 GAS物語』(2009年/66分/HMJM ハマジム)
映画「監督失格」を制作する引き金となった作品。2005年、平野は14年間勤めたAV制作会社シネマユニットガスを離れる事になり、ドキュメントAVを制作する事に。その撮影途上で、林由美香の急死に遭遇する。入れ替わりで入社してきた演劇女性、苅谷文の目を通して物語は描かれる。事件当日、別の場所でもう一台のカメラが回っていた…。「監督失格」のアウトテイク的作品。

監督失格の中盤のいくつかのシーンと、例の林由美香急死現場の映像は、この作品の撮影中に起きた出来事でした。自分とAV制作会社であるシネマユニットガスの歴史、みたいなドキュメントを撮っていたので、由美香にも出てもらおうと撮影していました。例の事件の影響で本作の完成まで3年ほどかかりました。あの時、何が起こっていたのか?苅谷文という女の子が回したカメラと、その視点で描かれます。また、現在にも通じる社会の現状が若い女子の目から語られているのも本作の特徴です。(平野)

『由美香ママ』(2012年/18分) 初上映
監督失格の重要登場人物であり、林由美香の母親、そしてラーメン店野方ホープの社長である小栗冨美代さん(通称由美香ママ)を監督失格の公開後、DVD監督失格の特典用として2012年の1月に撮影されたもの。奇しくも、この年の11月、小栗冨美代さんは病気のため亡くなってしまい、本作が最後のメッセージとなりました。(平野)

『野方ホープ リクルート用ビデオ』(2015年/36分)
当初、ラーメン店 野方ホープのリクルート用映像として、ちょうど1年前に制作されました。現在、野方ホープさんで事情が変化してか、まだ正式な公開はされていません。リクルート用と言っても内容は、由美香ママ、小栗冨美代さんが亡き後、2代目社長に就任した由美香の弟である小栗栄行さんの、ラーメン店としての現実と理想を描いたドキュメンタリーともなっており、ある種、監督失格その後、的な内容となっています。(平野)


【ゲスト】

柳下毅一郎(映画評論家・特殊翻訳家)