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月刊 平野勝之 (第二十五回) 平野勝之のわくわく青春映画講座 vol.1「祝・ベルリン国際映画祭上映!!『愛の街角2丁目3番地』凱旋上映会」 ゲスト:小口詩子(映像作家、武蔵野美術大学映像学科教授)

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今年2月のベルリン国際映画祭を皮切りに開催される、日本の8mm自主映画の中から“PUNK”をキーワードにセレクトされた特集「8mm Madness:Japanese Indies from the Punk Years(仮題)」に石井聰亙(岳龍)、塚本晋也、園子温らの作品と共に平野勝之の『愛の街角2丁目3番地』が選出されました!

これを記念して月刊 平野勝之では「平野勝之のわくわく青春映画講座」と題して、2ヵ月連続(次回は3/27)で平野8mm作品を特集します。今回は『愛の街角2丁目3番地』を最新デジタルバージョンで上映!上映後、本作にも出演している小口詩子さんをお招きして、当時を振り返ります。8mm初期作品の中から特別上映も予定しております!


【第10回ぴあフィルムフェスティバル1987の審査員だった大島渚氏と松本俊夫氏の講評】

「愛の街角2丁目3番地」は観客審査員の投票でも1位であり、松本俊夫も1位に推しているということで、変更してもいいと言われたがその気はなかった。
私はこの作者の前の作品にユニークさと力量を認めながらもう一息ストレートに伝わらない何かを感じていたが、今回は集団のパッションと作者=カメラマンの技術が見事にお互いを誘発しながら、ほとんど崇高といってよいほどの悲痛な情感をたたえた’作品,にまで高まっていた。これは平野勝之君とシネマ・ヴァリエテと不死身会にとって単に映画にとどまらぬひとつの時代の記念碑であるように思えた。チリ紙交換の呼び声は日本の暗黒の荒野にひびく黙示のラッパのように響いた。日本を離れていた期間が長いので私は感傷的になっているのかもしれないが、私は日本の若い人たちの現在が必ずしも幸福でないことを感じ、涙した。
大島渚

「愛の街角~」は狂暴なマグマ状のうねりが、偶発的な出来事を巻き込みながら、虚構と現実のはざまに、かつて経験したことのない鮮烈な映画的ざわめきを浮上させて、私を圧倒した。
松本俊夫

※PFF87パンフレットより抜粋転載


【上映作品】

『愛の街角2丁目3番地』(1986年/8㎜/93分) ※最新デジタルバージョンで上映


原作:大友克洋
出演:杉山正弘、原田陽子、鈴木豊、園子温、稲垣宏行、鈴木卓爾、小口詩子
監督 平野勝之
制作:シネマヴァリエテ+不死身会
PFF87入選(大島渚推薦) 観客審査員第1位

【解説】
大友克洋の同名マンガを下敷きに、ホームレスグループとオカマグループに別れてしまった愛のカップルの姿を描く…という話で収まるわけはなく、カメラも出演者も走り回り絶叫しまくり、街の人々を巻き込み、虚構と現実が行ったり来たりの大騒ぎ。静けさと騒乱が渦巻く平野8㎜時代の代表作。

「僕が23歳ごろに作ったものです。なぜかPFFさんがらみで、今年のベルリン国際映画祭で上映されちゃうみたいです。この頃はビデオが一般的でなく、映画を作るといったら若者はみんな8㎜フィルムで作るのが普通でした。フィルムは1本につき3分20秒しか撮影できずフィルム代と現像代で、3分に2500円ぐらいかかったんです。だから今よりワンカットの緊張感が違ってたと思います。今見ると、無茶苦茶の塊で、まあ、ようやるよ、と思いますが、自分はあんまり変わってないなー(涙)とも思います。いいかげん極まりなく、一見デタラメに見えると思うけど、カメラの動きと俳優との連動に注目すると面白いかも。それに加えて、いろんなものを瞬発的に取り込んで栄養にしていく貪欲な雑食性かな?まあ、やっぱあんまり今と変わってないなー、(笑)」平野