・8月8日(月)18:00の回/20:00の回いずれも上映後トークセッション
<ゲスト>市川寛弁護士 (元検察官・「検事失格」著者)」、長塚洋監督
【市川寛さん】
「私はえん罪を作りました」と告白する元検事・市川さん。映画で若者が執拗に訊く「(捜査機関が)間違いを認めないのはなぜ?」の問いに、検察内部の視点から答えます。客席とのトークも期待大。
それは、日本政府による意識調査の結果だ。「圧倒多数の支持」を、政府は死刑を続ける理由としてきた。だが本当なのか?死刑の情報提供や議論を、政府は避けてきた。命を奪うこの刑罰を、実は人々はよく知らない。そんな中、ある研究者によって都内の会場に、一般市民135人が集められた。それは、人々の心をより深く探る「審議型意識調査」の試み。テーマは、日本の刑事制度だ。市民たちは、お互い初対面。研究者は冒頭、こう宣言した――「討議してたどり着いた意見を、国民の判断と考えます」。
知って、揺らぐ。語り合って、悩む
2日間の調査ではまず弁護士や専門家、犯罪被害者などから話を聞く。続いて、市民どうし意見を述べ合う。すると市民たちは、さまざまな反応を示し始めた死刑に反対する被害者も存在すると知って「死刑支持が揺らいだ」という若者。死刑が犯罪を減らすとは証明できないと知って「もっと苦しい刑罰が必要かも」と言いだす中年男性。冤(えん)罪による死刑判決の多発に、とまどう若い女性。知ることで初めて悩み、自分とまったく違う意見に触れて悩み、当たり前のはずだった考えを揺さぶられる“世論”の担い手たちを、カメラは捉え続ける。答えの出ない議論のなかで、“普通の人々”の意識に何が起きるのか? 混とんの中に浮かぶ、“世論”のほんとうの顔とは…。
この国の「死刑」について、あなたはどれだけ考えた事があるだろう? 私たちの総意と見なされる「世論」という「神話」にメスを入れる、佐藤/ベーコン両氏による大規模意識調査を知った時、その過程を何とかして映像化したいと思った。その調査と研究は欧州のいくつもの政府機関から助成を受けるなど、世界は「日本の死刑」に注目する。だがそれ以上に大切なのは、当の私たちが社会の在り方について考え、語り合うのを止めないこと…それが映画の制作中、私の心を占めていたことだ。一見私たちから遠い、だが私たち自身が抱える「死刑」という重い現実と向き合う体験を、この映画で共有してもらいたい。
長塚 洋(監督)