これまで“過激”、“奇抜”、“ヌケない”AV作品としてサブカルチャー文脈で評価されてきたバクシーシ山下監督の特異な作品群は、映像に限らず様々なジャンルの表現者に少なからぬ影響を与えてきた。
本企画はバクシーシ山下作品を従来のサブカルチャー的文脈からではなく、その作品群に通底する“社会的”あるいは“人類学的”な側面にスポットを当てる。
冷めた眼で、眺めるように対象を見つめるバクシーシ山下の眼を通して、社会問題からマイノリティまで、私たちの身近にありながらも見ることのできない人々や世界を「社会科見学」する試み。
上映後のトークでは、多彩なゲストをお招きし、バクシーシ山下作品に残された、人々、時代の貌について、それぞれの観点から対話をおこなう。
記念すべき第十一回目となる今回は、第一回のゲスト、三浦大輔が再登場。もともと「三浦さんとバクシーシ山下の意外な関係をトークイベント化したい」という理由からはじまった「社会科見学」も十回を越え、これまで多くのクセ者ゲストとバクシーシ山下の対話を繰り広げてきた。そんな社会科見学の軌跡を振り返るとともに、新たな一歩を踏み出すルネッサンス特別企画。
スナックの一室の集められた3人の男たち(花岡じった、観念絵夢、佐藤マオウ)。そこにつれてこられたのは2人のAVギャル。3人の予定が、すでに開始前から1人がリタイヤしてしまった。
波乱の幕開けとなった今回の企画は、50時間ぶっ通しの耐久コンパだった。普通じゃない男たちと、普通じゃいられない女たち。お酒があれば何とかなると思いきや、現場は逃げ場の無い憎悪のチェーンリアクションへと沈没していく。
そんな全く噛み合わない場を盛り上げようと、酒をあおる監督バクシーシ山下が、泥酔して眠ってしまう。監督不在の状況のなか、地獄コンパの空間では何が起っていたのか!?人はどのように出会い、そして打ち解けるのか?酒乱のAD、AVプロダクションの人材派遣システムの対応力の高さにも注目の、バクシーシ山下アンチ・スペクタクル実験作。
三浦大輔(演出・脚本家、ポツドール主宰、映画監督)