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月刊 平野勝之(第二十一回)原一男×平野勝之「虚実皮膜」

詳細 DETAIL

原一男×平野勝之 ドキュメンタリー対決第三弾!!

「虚実皮膜」とは、近松門左衛門の「芸の真実は虚構と現実の狭間にある」という有名な言葉ですが、今回は再び映画監督の原一男さんをお招きして、この問題をみなさんと考えてみたい、と思ったのが発想の元でした。と言うのは、偶然なのですが、たまたま原さんも僕も、1994年前後に、お互い知らないところで、「虚実皮膜」になってしまうような内容の作品を制作していたからでした。これは単なる偶然か?何かのご縁か?原さんが前回コメントいただいたように、もしかしたら、僕と原さんは何かしらの因縁が昔からあったのかもしれません。不思議な話なのですが、気付いた以上は上映しなくては!と思ったのです。20年の歳月をえて、今、何が見えてくるでしょう?ぜひ皆様、ご覧になっていただきたいと思います。原さん、今度はウンコはありません(笑)
平野勝之


平野兄から今回受けた3度目の“果たし合い状”の大義名分は、「虚実皮膜」。
我々は、よく、“糞まみれ,泥まみれ”という表現は使うが、それは修飾的な言い方だが、平野兄の場合は、糞まみれは、実物だもの。これには、逆立ちしても勝てない!
ま、今回は、糞=うんこは出てこない、とうから一安心! …といいたいところだが、くせ者の平野兄のことゆえ、思わぬ伏兵が飛び出てくるかもしれない。油断大敵だ。気を引き締めて臨もう。
平野兄の言うとおり、彼と私は年齢は離れてはいるが、大きなくくりでいえば、“同時代”に生きているんだなあ、としみじみ思うが、問題意識に共通点があるのだ。
ドキュメンタリーは、もろ、その時代時代を反映するものだし、時代のもつ“気”というようなものを記録する。平野兄は、AVの世界で、時代の精神をドキュメントしてきた。私は私で別のフィールドで時代の精神を記録してきたが、両方を照らし合わせながら、時代を浮かび上がらせたい、と願っている。
原一男


■タイムテーブル

15:15開場/15:30上映『全身小説家』(157分)
15分休憩
18:30上映『わくわく不倫講座』(106分)
15分休憩
20:30~21:30トーク


■上映作品

『全身小説家』(1994年/157分/35ミリ) ※DVD上映

監督・撮影:原一男
製作:小林佐智子
編集:鍋島惇
整音・現場録音:栗林豊彦
音楽:関口孝
出演:井上光晴、埴谷雄高、瀬戸内寂聴、野間宏
〈イメージ篇〉
デザイン:木村威夫、撮影:大津幸四郎、
出演:金久美子

【あらすじ】
『ゆきゆきて、神軍』から7年、94年の日本映画各賞を総なめした大傑作。
小説『地の群れ』などで知られる、作家・井上光晴の生を描く長編ドキュメンタリー。
約40年にわたって創作=小説と格闘し、92年5月ガンに散ったひとりの小説家の「虚構と真実」が、インタビューを中心とする従来通りの記録映画的な部分と「イメージ篇」と名付けられた一種のドラマを交えて綴られる。
5年もの歳月を費やした原一男監督の意欲作で、埴谷雄高、瀬戸内寂聴などの作家が登場するのも興味深い。

日本映画監督賞
キネマ旬報ベストテン1位・監督賞
毎日映画コンクール日本映画大賞
日本映画ペンクラブベスト1位


『わくわく不倫講座』(1995年/106分/V&R PLANNING) ※18歳未満の方はご入場できません。

出演:志方まみ、平野ハニー、井口昇、原達也、藤香澄、ほか

【解説】
94年、平野は結婚するが、その直後、AV嬢志方まみと恋に陥る。平野は不倫生活を作品に仕立てようと記録するが、平野との関係に嫌気がさした志方は、ある日、忽然と平野の前から姿を消す。志方を追い求め、様々な画策をする平野。が、志方は戻らない……。物語は、時を経て25年後へ…。ジャンル分類不能。執念の一大娯楽大作。

『これは最初は、もっと気軽な?AV嬢のリアルな姿を遊びながら追うだけの内容にするはずでした。しかし、なぜか20年に一回、作れるかどうか?…の内容にまで発展してしまいました。作るのが非常に困難で、もう最後の方は、ただひたすら映画するためだけに動いていたような気がします。撮影途中からヒッチコックの「めまい」に着想のヒントを得ました。これだけはたくさんの方に見ていただきたい。まずはお楽しみ下さい。(平野)


■ゲスト

原一男(映画監督)