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『ラジウム・シティ 文字盤と放射線・知らされなかった少女たち』上映 +【トーク:篠崎誠、ヴィヴィアン佐藤】

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本国での初公開から約30年後の日本で、ついに初上映されることとなったドキュメンタリー映画『ラジウム・シティ』。映画監督の篠崎誠氏と美術家/ドラァグクイーンのヴィヴィアン佐藤氏をゲストに迎えてのトーク付き上映を開催します。(トーク終了後に上映)。

篠崎誠

1963年生まれ。立教大学現代心理学部映像身体学科教授。《おかえり》(1996)で商業映画監督デビュー。ベルリン映画祭最優秀新人監督賞はじめ、海外で11の映画賞を受賞。監督最新作は《あれから》(2012)に続き、「311以後」の不安と希望をテーマにした《SHARING》(2014)。共著に『黒沢清の恐怖の映画史』(青土社、2003)がある。

ヴィヴィアン佐藤

美術家、文筆家、非建築家、映画批評家、ドラァグクイーン、プロモーター。ジャンルを横断していき独自の見解で何事をも分析。自身の作品制作発表のみならず、「同時代性」をキーワードに映画や演劇など独自の芸術論で批評/プロモーション活動も展開。2012年からVANTANバンタンデザイン研究所で教鞭をもつ。各種大学機関でも講義多数。

ラジウム・ガールズ―――1920年代アメリカ、ラジウム・ダイヤル社の工場で時計の文字盤に夜光塗料を塗るペインターとして働き被爆した若い女性たち。筆先をなめて尖らせるよう指導された彼女たちは、その後、腫瘍や骨障害で苦しみ、多くが亡くなっていった。のちに5人が雇用主を提訴、長い裁判を経て勝訴したが、ほどなく全員が亡くなる。『ラジウム・シティ』は内部被曝の存在が広く知られるきっかけとなったラジウム・ガールズたちと、その後の街に生きる人々を描いたドキュメンタリーである。


“RADIUM CITY” DOCUMENTARY FEATURE FILM (c) 1986 BY CAROLE LANGER

舞台となるのは、アメリカ中西部のイリノイ州オタワ市。かつてラジウム・ダイヤル社の工場で多くの人々が亡くなったこの街では、 半世紀以上たってもなお、取り壊された工場の欠片が町中に散らばり、ホットスポットを生み出している。キャロル・ランガー監督は、かつてのラジウム・ガールズやその家族、そしてオタワの住民たちによる証言を記録し、一本のフィルムとして完成させた。目に見えない放射能による被害、企業や政府の隠蔽体質、恣意的に引き上げられる安全基準値、地域経済における産業と雇用の抱える困難・・・。彼らの証言によって浮き彫りにされるさまざまな問題は、現代を生きるわたしたちにとっても決して無縁のことではない。


“RADIUM CITY” DOCUMENTARY FEATURE FILM (c) 1986 BY CAROLE LANGER

本作は国内外の映画祭で高い評価を受け、米国のみならず各国のTV局で放映、アカデミー賞候補と目された。また、米国環境保護庁がオタワの除染作業にスーパーファンド法を適用するきっかけにもなった。



“RADIUM CITY” DOCUMENTARY FEATURE FILM (c) 1986 BY CAROLE LANGER


『ラジウム・シティ 文字盤と放射線・知らされなかった少女たち』(1987年/アメリカ/105分/白黒・カラー/モノラル)
出演:マリー・ロシター、エディス・ルーニー、ジェーン・ルーニー、ジーン・ルーニー、ケン・リッキ、シャーロット・ネビンス、マーサ・ハーツホーン、キャロル・トーマス、ジェームス・トーマス、ウェイン・ウィスブロック、ドン・ホール、ロッキー・レイクス、ボブ・レイクス、メアリー・オズランジ、スティーブン・オズランジ、ジャニス・キーシッグ、ジョアン・キーシッグ、環境汚染と闘う市民の会
監督・プロデューサー:キャロル・ランガー
音楽:ティミー・カペロ
撮影:ルーク・サッシャー
編集:ブライアン・コトナー、キャロル・ランガー
録音:ジョン・マーフィー
配給:boid
字幕:映画美学校映像翻訳講座