『バクシーシ山下の〈反〉社会科見学』第二回「ある男の記録 処置ナシ」
2015/5/3(日) 15:45開場/16:00上映開始
アダルトビデオを通して社会を見つめ捉えた観察記録
これまで“過激”、“奇抜”、“ヌケない”AV作品としてサブカルチャー文脈で評価されてきたバクシーシ山下監督の特異な作品群は、映像に限らず様々なジャンルの表現者に少なからぬ影響を与えてきた。
本企画はバクシーシ山下作品を“過激”、“奇抜”、“抜けない”といった従来の文脈からではなく、その作品群に通底する“社会的”あるいは“人類学的”な側面にスポットを当てる。
冷めた眼で、眺めるように対象を見つめるバクシーシ山下の眼を通して、社会問題からマイノリティまで、私たちの身近にありながらも見ることのできない人々や世界を「社会科見学」する試み。
上映後のトークでは、多彩なゲストをお招きし、バクシーシ山下作品に残された、人々、時代の貌について、それぞれの観点から対話をおこなう。
第七回となる今回のゲストには、斬新な撮影手法が話題を呼んだテレビドラマ『山田孝之の東京都北区赤羽』や、最新作『味園ユニバース』も公開中の、山下敦弘監督をお招きし、『苦役列車』で奇蹟の銀幕デビューを果たした、バクシーシ山下作品の常連男優、花岡じったの話を出発点に、AVと映画の表現について、バクシーシ山下とのトークを展開する。
『私が女優になった理由 望郷編〜なぜクニに帰れないか知ってますか?〜』(1994年/V&R)
2部構成からなる本作の前半は、はるばる北海道から上京してきたものの、風俗にハマって自己破産し、田舎の両親とも疎遠になっていた中年男・林さんが、親を安心させるべくAVギャルを婚約者に仕立てて帰郷を試みる。豪雪の中に佇む実家で何が起こるのか?
後半では山下作品の常連男優・花岡じったの、在日朝鮮人三世というパーソナルに迫る。同じ在日三世のAVギャルと韓国への渡航を計画するも、複雑な理由からそれは叶わない。根本敬作品でお馴染み、川西杏の祖国統一ソングに乗せて描かれる、私たちの身近にあるシリアスな人種問題。
※18歳未満の方はご覧いただけません。
山下敦弘(映画監督、『味園ユニバース』『山田孝之の東京都北区赤羽』)