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『ラジウム・シティ 文字盤と放射線・知らされなかった少女たち』上映 +【トーク:千原航、井出幸亮】

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本国での初公開から約30年後の日本で、ついに初上映されることとなったドキュメンタリー映画『ラジウム・シティ』。デザイナー/アーティストの千原航氏と編集者の井出幸亮氏をゲストに迎えてのトーク付き上映を開催します。(トーク終了後に上映)。

千原航

グラフィックデザイナー。1996年多摩美術大学美術学部二部卒。(株)立花ハジメデザインを経て1998年よりフリーランス。2005年朗文堂タイポグラフィスクール「新宿私塾」第六期修了。美術、音楽、建築、映画に関わるアートディレクション・デザインを中心に近年は選挙関係のデザインにも関与。個展『BICHA-BICHA EXHIBITION』(2003年/GAS SHOP)、グループショウ『1979』(2009年/Turntable Lab Tolyo/井口弘史との共同企画)、グループショウ+ポップアップショップ+ワークショップ『Handmade/Readymade』企画(2010年/PASS THE BATON)など、参加型プロジェクトを多数主宰。多摩美術大学造形表現学部非常勤講師としては、2007年より『妄想』(演習)、2009年より『現実』(ゼミ)を担当中。2011年以降の『現実』では、現在進行形の「社会と表現」を考えるためのゲストレクチャーを毎年開催している。

井出幸亮

編集者。1975年生まれ。雑誌「BRUTUS」「POPEYE」(ともにマガジンハウス)、「翼の王国」(ANA)ほか雑誌、書籍その他もろもろで編集・執筆活動中。旅と文化・芸術・歴史を好む。著書に『アラスカへ行きたい』(石塚元太良との共著、新潮社)。主な編集仕事に『ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと』(新潮社)、『ズームイン、服』(坂口恭平著、マガジンハウス)など。


ラジウム・ガールズ―――1920年代アメリカ、ラジウム・ダイヤル社の工場で時計の文字盤に夜光塗料を塗るペインターとして働き被爆した若い女性たち。筆先をなめて尖らせるよう指導された彼女たちは、その後、腫瘍や骨障害で苦しみ、多くが亡くなっていった。のちに5人が雇用主を提訴、長い裁判を経て勝訴したが、ほどなく全員が亡くなる。『ラジウム・シティ』は内部被曝の存在が広く知られるきっかけとなったラジウム・ガールズたちと、その後の街に生きる人々を描いたドキュメンタリーである。


“RADIUM CITY” DOCUMENTARY FEATURE FILM (c) 1986 BY CAROLE LANGER

舞台となるのは、アメリカ中西部のイリノイ州オタワ市。かつてラジウム・ダイヤル社の工場で多くの人々が亡くなったこの街では、 半世紀以上たってもなお、取り壊された工場の欠片が町中に散らばり、ホットスポットを生み出している。キャロル・ランガー監督は、かつてのラジウム・ガールズやその家族、そしてオタワの住民たちによる証言を記録し、一本のフィルムとして完成させた。目に見えない放射能による被害、企業や政府の隠蔽体質、恣意的に引き上げられる安全基準値、地域経済における産業と雇用の抱える困難・・・。彼らの証言によって浮き彫りにされるさまざまな問題は、現代を生きるわたしたちにとっても決して無縁のことではない。


“RADIUM CITY” DOCUMENTARY FEATURE FILM (c) 1986 BY CAROLE LANGER

本作は国内外の映画祭で高い評価を受け、米国のみならず各国のTV局で放映、アカデミー賞候補と目された。また、米国環境保護庁がオタワの除染作業にスーパーファンド法を適用するきっかけにもなった。



“RADIUM CITY” DOCUMENTARY FEATURE FILM (c) 1986 BY CAROLE LANGER


『ラジウム・シティ 文字盤と放射線・知らされなかった少女たち』

(1987年/アメリカ/105分/白黒・カラー/モノラル)

出演:マリー・ロシター、エディス・ルーニー、ジェーン・ルーニー、ジーン・ルーニー、ケン・リッキ、シャーロット・ネビンス、マーサ・ハーツホーン、キャロル・トーマス、ジェームス・トーマス、ウェイン・ウィスブロック、ドン・ホール、ロッキー・レイクス、ボブ・レイクス、メアリー・オズランジ、スティーブン・オズランジ、ジャニス・キーシッグ、ジョアン・キーシッグ、環境汚染と闘う市民の会
監督・プロデューサー:キャロル・ランガー
音楽:ティミー・カペロ
撮影:ルーク・サッシャー
編集:ブライアン・コトナー、キャロル・ランガー
録音:ジョン・マーフィー
配給:boid
字幕:映画美学校映像翻訳講座