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『ラジウム・シティ 文字盤と放射線・知らされなかった少女たち』上映 +【トーク:小林エリカ】

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ヴォーカリストのPhewと組むユニット「Project UNDARK(プロジェクト・アンダーク)」名義で、『ラジウム・シティ』より着想を得て作られたというアルバム『Radium Girls 2011』を2012年に発表した小林エリカをゲストに迎えてのトークショー付き上映を開催。聞き手は編集者の松村正人(トーク終了後に上映)。

小林エリカ

作家・マンガ家。 2014年「マダム・キュリーと朝食を」(集英社すばる)で第27回三島由紀夫賞候補、第151回芥川龍之介賞候補。著書は”放射能”の歴史を巡るコミック「光の子ども1」(リトルモア)、作品集に「忘れられないの」(青土社)。小説にアンネ・フランクと実父の日記をモチーフにした「親愛なるキティーたちへ」(リトルモア)、「空爆の日に会いましょう」(マガジンハウス)。コミックは詩をモチーフにした「終わりとはじまり」(マガジンハウス)など。クリエイティブ・ガールズ・ユニットkvinaとしても活動中。


ラジウム・ガールズ―――1920年代アメリカ、ラジウム・ダイヤル社の工場で時計の文字盤に夜光塗料を塗るペインターとして働き被爆した若い女性たち。筆先をなめて尖らせるよう指導された彼女たちは、その後、腫瘍や骨障害で苦しみ、多くが亡くなっていった。のちに5人が雇用主を提訴、長い裁判を経て勝訴したが、ほどなく全員が亡くなる。『ラジウム・シティ』は内部被曝の存在が広く知られるきっかけとなったラジウム・ガールズたちと、その後の街に生きる人々を描いたドキュメンタリーである。


“RADIUM CITY” DOCUMENTARY FEATURE FILM (c) 1986 BY CAROLE LANGER

舞台となるのは、アメリカ中西部のイリノイ州オタワ市。かつてラジウム・ダイヤル社の工場で多くの人々が亡くなったこの街では、 半世紀以上たってもなお、取り壊された工場の欠片が町中に散らばり、ホットスポットを生み出している。キャロル・ランガー監督は、かつてのラジウム・ガールズやその家族、そしてオタワの住民たちによる証言を記録し、一本のフィルムとして完成させた。目に見えない放射能による被害、企業や政府の隠蔽体質、恣意的に引き上げられる安全基準値、地域経済における産業と雇用の抱える困難・・・。彼らの証言によって浮き彫りにされるさまざまな問題は、現代を生きるわたしたちにとっても決して無縁のことではない。


“RADIUM CITY” DOCUMENTARY FEATURE FILM (c) 1986 BY CAROLE LANGER

本作は国内外の映画祭で高い評価を受け、米国のみならず各国のTV局で放映、アカデミー賞候補と目された。また、米国環境保護庁がオタワの除染作業にスーパーファンド法を適用するきっかけにもなった。



“RADIUM CITY” DOCUMENTARY FEATURE FILM (c) 1986 BY CAROLE LANGER


『ラジウム・シティ 文字盤と放射線・知らされなかった少女たち』

(1987年/アメリカ/105分/白黒・カラー/モノラル)

出演:マリー・ロシター、エディス・ルーニー、ジェーン・ルーニー、ジーン・ルーニー、ケン・リッキ、シャーロット・ネビンス、マーサ・ハーツホーン、キャロル・トーマス、ジェームス・トーマス、ウェイン・ウィスブロック、ドン・ホール、ロッキー・レイクス、ボブ・レイクス、メアリー・オズランジ、スティーブン・オズランジ、ジャニス・キーシッグ、ジョアン・キーシッグ、環境汚染と闘う市民の会
監督・プロデューサー:キャロル・ランガー
音楽:ティミー・カペロ
撮影:ルーク・サッシャー
編集:ブライアン・コトナー、キャロル・ランガー
録音:ジョン・マーフィー
配給:boid
字幕:映画美学校映像翻訳講座