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『アンソロジー・プロレタリア文学』刊行記念上映&トークイベント第二弾 「労働戦線異常あり」

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三本きりしかない指先の要求書(鶴彬)


長時間労働、過労死、パワハラなど、労働者を食いつぶし使い捨てる企業の「ブラック」化が社会問題となっている。雇用と生存権の破壊は、「派遣切り」が問題となった「蟹工船ブーム」の頃の非正規労働者から、現在では正社員にまで及んでいる。そのような現状において、プロレタリア文学はもはや文学的な懐古趣味でも、社会運動の歴史の一頁でもない。
今のリアルな問題として我々の社会に潜む“プロレタリア文学的状況”を考え、現代の若い世代にとって新たなものとして再発見する。
 
第二回目となる今回は、「フツー」ではない苛酷な労働環境におかれた労働者が「フツー」な労働環境を獲得するための闘いを描き、海外でも高い評価を受けた、土屋トカチ監督の劇場デビュー作『フツーの仕事がしたい』を上映。
上映後、『アンソロジー・プロレタリア文学』(森話社)の編者・楜沢健がホストとなり、『フツーの仕事がしたい』の土屋トカチ監督、そして日本近現代史研究者で『戦争×文学』(集英社)全20巻の編集委員も務めた成田龍一を迎えて、鼎談をおこなう。
プロレタリア文学に描かれた様々な形態の「蜂起」を読み解き、現代の労働者搾取に対抗する「蜂起」のあり方をさぐる。

【上映作品】


『フツーの仕事がしたい』(2008/日本/DV/70分/カラー)
監督:土屋トカチ

http://nomalabor.exblog.jp/


【鼎談】


「個の「さけび」から集団の「うた」へ」
ゲスト:楜沢健、成田龍一、土屋トカチ

楜沢健(くるみさわ・けん)
1966 年、東京生まれ。文芸評論家、早稲田大学他非常勤講師。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院文学研究科博士課程単位取得退学。プロレタリア文学を研究の中心テーマ、座標軸のひとつに据え、ユニークな文芸評論を展開。『だからプロレタリア文学──名文・名場面で「いま」を照らしだす17 の傑作』(勉誠出版、2010)、『だから、鶴彬──抵抗する17 文字』(春陽堂書店、2011)、『川柳は乱調にあり──嗤う17音字』(春陽堂書店、2014)など。

土屋トカチ(つちや・とかち)
1971年、京都府生まれ。映画監督。新聞配達・書店員・工場請負作業員・日雇い労働等を経て、99年より映像制作を開始。劇場デビュー作「フツーの仕事がしたい」(2008)、英国・第17回レインダンス映画祭、UAE・第6回ドバイ国際映画祭において、ベストドキュメンタリー賞を受賞。国内外の映画祭で評価された。監督作品に「経年劣化」(2013)「ブラック企業にご用心!」(2013)「誰のためのTPP?」(2013)などがある。現在、新作「戦争の碑(仮)」を制作中。


成田龍一(なりた・りゅういち)
1951年、大阪生まれ。歴史学、とくに近現代日本史を専攻。日本女子大学教員。近現代日本史をどのように考えるのか、またそれをどのように伝えることができるかを考えている。『近現代日本史と歴史学』(中公新書、2012年)、『戦後日本史の考え方・学び方』(河出書房新社、2013年)などのほか、近著には、社会学者・大澤真幸との対談『現代思想の時代』(青土社、2014年)がある。

『アンソロジー・プロレタリア文学』
楜沢健[文芸評論家・早稲田大学等非常勤講師]=編  
四六判上製/予頁各368 ~ 400 頁/各巻3000 円程度
全7巻ラインナップ
①貧困 ②蜂起 ③戦争 ④事件 ⑤驚異 ⑥教育 ⑦哄笑

第2巻「蜂起──集団のエネルギー」[発売中]
四六判上製カバー装400頁/本体3000円+税
ISBN978-4-86405-060-9 C0393

農村、商店、工場、駅、会社、路上……、さまざまな場所で巻き起こる、さまざまな「蜂起」。「個人」ではなく、「集団」としてのオリジナリティーが発揮された作品を集める。

■目次 製糸女工の唄=山中兆子/[Ⅰ]地獄=金子洋文/川柳=白石維想楼/女店員とストライキ=佐多稲子/豚群=黒島伝治/[Ⅱ]淫売婦=葉山嘉樹/川柳=井上剣花坊/省電車掌=黒江勇/短歌=清水信/舗道=宮本百合子/[Ⅲ]交番前=中野重治/川柳=鶴彬/鎖工場=大杉栄/短歌=渡辺順三/防雪林=小林多喜二解説「蜂起する「集団」の力、神秘、驚異」=楜沢健