2014年3月9日に米国の作家チャールズ・ブコウスキーが没後20年を迎えました。彼の死を悼み、数多の遺作に敬意を込めて、井上弘久が一人読み、そして舞う、朗読演劇です。第三弾は、ゲストの中原昌也がサウンドトラックを担当。演目は、本邦初演「狂った生きもの」(『ありきたりの狂気の物語』収録)。
公式ホームページ http://bukowski20th.com/
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「失業して、部屋を追いだされ、そして(たぶん)正気からもつきはなされていた当時、私は飲んでばかりいた。その日、裏通りで寝て過ごしたあとで、朝日のなかでゲロを吐いた。それから五分おいて、コートのポケットにあったワインの残りを飲んで、街のなかを歩きだした。いくあてなどなかった。でも歩いていると、なんだか目的を持って行動しているかのような気がしてきた。むろん錯覚である。裏通りにいたってしょうがなかっただけだ」
これは、ロサンゼルスの伝説的な酔いどれ詩人/作家、故・チャールズ・ブコウスキーの短編小説『狂った生きもの(原題:Animal Crackers in My Soup)』の冒頭を飾るテキストです。この書き出しからは想像もつかない展開をみせる奇妙な物語、そして破れかぶれな結末。この小説の舞台作品化に挑むのは、朗読演劇家・俳優・演出家の井上弘久さん(写真右)。そして、音楽を担当するのはHair Stylistics(ヘア・スタイリスティックス)こと中原昌也さんです(写真左)。
「冒頭から最後の一行まで、地の文も会話もすべてセリフと化してしまう、熱量のいるこのパフォーマンスは、朗読演劇という分野の正統なはじまりとなるだろう。この成功は作者の生の経験を引きうけられる、若さを通り越した役者だからこそだが」(青野聰/小説家)
自身も書き手である中原昌也さんは、おそらく原作者の言葉、そして井上さんのセリフ自体には寄り添いすぎることなく、しかし即興演奏のスキルを以て、約90分に及ぶというこの「朗読演劇」の制作にライブで取り組むでしょう。
初顔合わせとなる両者による一夜限りのライブ・パフォーマンスを、どうぞお見逃しなく!