今年で開催7回目を迎える、花開くコリア・アニメーション2014。今回も、韓国唯一のインディーズ・アニメーション映画祭「インディ・アニフェスト」の最新ノミネート作品から、短編23本を抜粋し「喪失の時間」「成長痛」「あなたの破片」の3つのテーマでご紹介します。長編作品は、ワルシャワ国際映画祭やサンパウロ国際映画祭で上映されて好評を得た『パタパタ』を日本で初めて上映します。
*全作品日本語字幕あり
各プログラムの冒頭に上映されるトレーラー。今年は花コリ2013東京会場のゲストで、東京・大阪・名古屋での観客投票で3会場とも1位を獲得し、観客賞を受賞した『Noodle Fishでこぼこ魚』のキム・ジンマン監督が、映画祭史上初「素麺アニメーション」で制作しました! お見逃しなく!
4/19(土)Bプロ上映後
ゲスト:パク・ジェオク監督
司会:伊藤裕美氏(オフィスH代表)
*日本語通訳あり
「現実と非現実のはざ間から生まれるユーモア」
俗物的な「紳士の終わり」をストレートに提示する『2人の紳士』(2012)や、年老いた認知症の母親と息子の姿を描いた『STOP』(2008)は、極めて現実的な題材を非日常的な空間におき、パク・ジェオク監督特有のユーモラスな感性で解きあらわした作品です。今回のトークでは、長編『ロマンはない』の共同監督の経験や、最近完成した新作のエピソードも含めて、パク・ジェオク監督が表現する「世界のすき間」について語っていただきます。
プロフィール:パク・ジェオク
ソウル大学デザイン学部を卒業後、韓国映画アカデミーにてアニメーション演出を専攻。短編アニメーション『STOP』(花コリ2009で上映)で、カンヌ国際映画祭をはじめ国内外の映画祭でさまざまな賞を受賞し、スギョン、ホン・ウンジ監督と共に監督した長編アニメーション『ロマンはない』(花コリ2011で上映)で再び注目を浴びる。現在、劇場用アニメーション『リトルズ』を企画中。2Dアニメーションスタジオ「アニホール」代表。
●短編Aプロ 75min / 7作品
喪失の時間
季節が移ろえば木の葉も落ちるように、知らぬ間に私たちの生からこぼれ落ちたものは、そのまま消えてしまったのだろうか? 形はなくなっても思い出は残る。本当に大切なものは、触ることも掴むこともできないものではないのか…?
貯水池で密かに暮らす怪物への温かいユーモアがこもった『貯水池の怪物』、転校する日に出会う少年と少女の物語『セミが鳴いた』、些細な事故から行き当たる記憶の物語『ミッシェル』、漠然とした未来に対する不安を描いた『風を切って』、競争社会で疲れた都会人たちの姿をナレーションにのせた『千の灯台』、死を前に過去を振り返る『パノラマ』、木を通して時間と季節の変化を表現した一篇の詩『Le temps de l’arbre(木の時間)』が、忘れていた時間へといざなう。
『貯水池の怪物』イ・ソンガン(11:35/2012)
『セミが鳴いた』オ・ジウォン(14:30/2012)
『ミッシェル』イ・ムンジュ(10:10/2012)
『風を切って』ホン・ジュンピョ(6:30/2012)
『千の灯台』チュ・ヨングァン(08:35/2012)
『パノラマ』キム・ドンチョル(14:54/2013)
『Le temps de l’arbre(木の時間)』チョン・ダヒ(8:18/2012)
————————————————————————————————————-
●短編Bプロ 77min / 6作品
成長痛
私自身が願う「私」と君が期待する「私」は同じではなく、私の目に見える「私」と君の目に映る「私」は違う。同じ「私」と違う「私」がぶつかり合い傷つきながら、私は毎日新たに生まれ変わる。
マグリットの絵を見ながら口論していた2人の紳士の愉快なエピソード『2人の紳士』、銭湯の湯気の中に浮かぶ父親との幼いころの追憶『38-39℃』、「私」と「私」が和解する過程『私の部屋のナナ』、息苦しい日常からの脱出を夢見る『風の通り道』、家に取り残された犬のファンタジックな旅『学校へ行く道』、歯医者が怖くてグラグラの歯を我慢するかわいい少年の物語『痛くない』を通して、一層成長した自分を見つけてみよう。
『2人の紳士』パク・ジェオク(9:10/2012)
『38 – 39 ℃』キム・ガンミン(7:50/2011)
『私の部屋のナナ』コ・ヨンチョ(7:32/2012)
『風の通り道』キム・ジュイム(15:34/2013)
『学校へ行く道』ハン・ジウォン(19:00/2013)
『痛くない』キム・ボヨン(18:15/2013)
————————————————————————————————————-
●短編Cプロ 74min / 10作品
あなたの破片
人間は、満たされない欲望の塊。休むことなく走り続けた果てに、砕け散る心。無数の警戒と監視の目のもと、疲れ果てた体をいたわる場所があるだろうか。
自分だけの空間を夢見る危険な想像『Piece, Peace』、自身の妄想を絵で表現しようとする「K」の物語『私の額縁』、誰かが自分を見ているかもしれない『CCTV』、人生の分岐点に立つピエロ『MAZE KING』、餓えた犬の選択が導き出した結果『犬』、平凡な父親と子どもたちの物語『普通の父親』、夜になると酔っ払って帰ってくる父親の後ろ姿『男の居場所』、静寂の中に広がる怒りと暴力『pest』、現代社会の果てしない競争時代を描く『走る男』、自分と異なる人々を受け入れられるのかを問う『The Big Boy』が、この社会を塵のように生きる現代人たちに、小さな波紋を与える。
『Piece, Peace』パク・ジェイン(7:00/2013)
『私の額縁』キム・イェオン(7:29/2012)
『CCTV』ファン・サンドゥ(4:22/2012)
『MAZE KING』キム・ハケン(7:01/2013)
『犬』イム・ウンギョン(5:30/2012)
『普通の父親』イ・ファニ(8:30/2012)
『男の居場所』チョ・チョンドク(14:30/2013)
『pest』パク・オロム、ユ・ヨンヒョン(5:08/2013)
『走る男』チョン・ヨンソク(10:00/2012)
『The Big Boy』イ・ギュテ(5:55/2013)
————————————————————————————————————-
●長編『パタパタ』 78min
海の中を自由に泳いでいたサバ「パタパタ」が、ある日網にかかり、海辺の刺身店へと運ばれた。古参の「オールドヒラメ」が支配する水槽の中で、先輩魚たちに逆らい、海への脱出を試み続けるパタパタ。果たして、それは悪あがきに終わるのか…? 小さな世界の中で繰り広げられる、絶望と希望の物語。
『豚の王』に続き、2012年にインディーズ・アニメーションとして国内ロードショーを実現した話題作。全州国際映画祭の国際競争部門で受賞したほか、サンパウロ、ワルシャワ、メルボルンなど、各地の国際映画祭にも出品されている。3DCGを駆使して、魚たちの仕草や感情が生き生きと描き出される。
『パタパタ』イ・デヒ(1:18:00/2012)
主催:韓国インディペンデント・アニメーション協会(KIAFA) UPLINK
後援:大韓民国文化体育観光部 駐日韓国大使館韓国文化院 日本アニメーション学会 日本アニメーション協会
協力:ANIMATION TAPES 韓国コンテンツ振興院(KOCCA)