農薬・化学肥料への依存、放射能汚染、環境破壊。こうした問題を解決する鍵を「有機農業という生き方」に見出したPARC最新ドキュメント『有機農業で生きる――わたしたちの選択』。土を作り、作物を言葉にして語る先駆者たちの言葉には深い響きがあります。また、ソ連崩壊後、石油輸入量が半減し、食料の輸入が8割減ったキューバがどのように危機を乗り越えたのかを追った『コミュニティの力』の2作品を上映します。
石油の生産量がピークを迎え、やがて減少していくという「ピークオイル」はすぐそこまで来ていると言われています。キューバはソ連崩壊によって輸入が大幅に減少し、一足先にピークオイル後の社会を経験しました。一方、日本では3.11後の復興を考える中で、脱原発の道、自然エネルギーへの転換を模索しています。
食べ物の生産にはエネルギーが大きく関係しています。特に農薬と化学肥料と農薬に依存する近代的農業は石油なしには成り立ちません。
有機農業は、人と人、自然、地域とのつながりと循環に基礎に置いた農業です。有機農業をテーマに、日本の、そして世界の危機を乗り越える方法を見出してみましょう。
ゲストは40年以上に渡って有機農業という生き方を貫いてきた埼玉県小川町霜里農場の金子美登さんと農・食・環境・アジアなどをテーマに多数の本創りに携わってきた編集者・ジャーナリスト・PARC共同代表の大江正章さんです。
また『有機農業で生きる』監督の岩崎充利さんからもコメントをいただけることになっています。みなさんのご参加をお待ちしています!
金子美登さん
日本の有機農業のさきがけであり、第一人者。1971年に農水省農業者大学校を1期生として卒業後、有機農業を始める。NPO法人全国有機農業推進協議会の代表を務め、自らも埼玉県小川町に霧里農場を運営。消費者30世帯と提携し、約3ヘクタールの田畑で季節に合わせて常時20品目を栽培している。落ち葉や糞尿を利用した完熟堆肥や生ごみを活用したバイオガスプラントなど自然エネルギーを循環させ、水田や畑のほかに、乳牛、や養鶏も行う。国内外からの研修も多く受け入れ、海外の農業者とも交流を活発に行っている。
大江正章さん
コモンズ代表。ジャーナリスト。PARC共同代表。農・食・環境・アジアなどについての単行本の編集・制作多数。特によく言われる「もうひとつの農業」ではない「本来の農業」である有機農業に注目してきた。90年代からは、編集のかたわら農業や地域の現状を取材している。フィールドは、過疎の中山間地域から都市まで幅広い地域を網羅している。