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『アンソロジー・プロレタリア文学』刊行開始記念上映&トークイベント “今こそプロレタリア文学を我らの手に” 上映作品:『遭難フリーター』

詳細 DETAIL

プロレタリア文学は「地獄」を明視する、「地獄」の文学である。


長時間労働、過労死、パワハラなど、労働者を食いつぶし使い捨てる企業の「ブラック」化が社会問題となっている。雇用と生存権の破壊は、「派遣切り」が問題となった「蟹工船ブーム」の頃の非正規労働者から、現在では正社員にまで及んでいる。そのような現状において、プロレタリア文学はもはや文学的な懐古趣味でも、社会運動の歴史の一頁でもない。
今のリアルな問題として我々の社会に潜む“プロレタリア文学的状況”を考え、現代の若い世代にとって新たなものとして再発見する。 
上映作品は、現代における若者の派遣労働をめぐる悲惨な状況を、監督自身がセルフドキュメンタリーの手法で描いた『遭難フリーター』(監督:岩淵弘樹)。
上映後、『アンソロジー・プロレタリア文学』(森話社)の編者・楜沢健がホストとなり、プレカリアート運動の論客・雨宮処凜と、今年出版され話題を呼んだ『永続敗戦論』(太田出版)の著者・白井聡を迎えての鼎談を行う。
プロレタリア文学を軸に、現代における労働と貧困をめぐる新たな問題を、それぞれの専門領域である文芸、活動、政治などの多角的な視点から捉え直す。

【上映作品】

『遭難フリーター』(日本/2007/日本語/DVcam/67分)

監督:岩淵弘樹


【トークショー】

鼎談「今、なぜプロレタリア文学か?」
ゲスト:楜沢健さん、雨宮処凜さん、白井聡さん


【ゲストプロフィール】

楜沢健(くるみさわ・けん)

1966年、東京生まれ。文芸評論家、早稲田大学他非常勤講師。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院文学研究科博士課 程単位取得退学。プロレタリア文学を研究の中心テーマ、座標軸のひとつに据え、ユニークな文芸評論を展開。『だからプロレタリア文学─―名文・名場面で「いま」を照らしだす17の傑作』(勉誠出版、2010年)、『だから、鶴彬─―抵抗する17文字』(春陽堂書店、2011年)、『葉山嘉樹・真実を語る文学』(共著、花乱社、2012年)など。

雨宮処凜(あまみや・かりん)

1975年、北海道生まれ。作家・活動家。00年、自伝的エッセイ『生き地獄天国』(太田出版/ちくま文庫)でデビュー。06 年からは「プレカリアート」問題に取り組み、取材、執筆、運動中。著書に『プレカリアートの憂鬱』(講談社)、『雨宮処凛の闘争ダイアリー』(集英社)、『バカだけど社会のことを考えてみた』(青土社)など。07年に出版した『生きさせろ!難民化する若者たち』(太田出版/ちくま文庫)で日本ジャーナリスト会議賞を受賞。「反貧困ネットワーク」副代表、フリーター全般労働組合組合員、「こわれ者の祭典」名誉会長。

白井聡(しらい・さとし)

1977年、東京都生まれ。文化学園大学助教。専攻は、社会思想・政治学。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。著書に『未完のレーニン──「力」の思想を読む』(講談社選書メチエ、2007 年)、『「物質」の蜂起をめざして──レーニン、〈力〉の思想』(作品社、2010年)など。今年三月に刊行された『永続敗戦論──戦後日本の核心』(太田出版、2013年)が大きな話題を呼んでいる。

アンソロジー・プロレタリア文学
楜沢健[文芸評論家・早稲田大学等非常勤講師]=編  
四六判上製/予頁各368~400 頁/各巻2800円程度
全7巻ラインナップ
1/貧困 2/蜂起 3/戦争 4/事件 5/驚異 6/教育 7/哄笑
第1巻「貧困──飢える人びと」[発売中]
四六判上製カバー装392 頁/定価2940円(本体2800円)
ISBN978-4-86405-051-7 C0393

【内容】
渡辺順三(短歌)
Ⅰ 小林多喜二「龍介と乞食」/宮地嘉六「ある職工の手記」/林芙美子「風琴と魚の町」/鶴彬(川柳)
Ⅱ 黒島伝治「電報」/伊藤永之介「濁り酒」/宮本百合子「貧しき人々の群れ」栗林一石路・橋本夢道・横山林二(俳句)
Ⅲ 若杉鳥子「棄てる金」/里村欣三「佐渡の唄」/葉山嘉樹「移動する村落」
解説「だからプロレタリア文学が読みたい」楜沢健