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コラボ・モンスターズ!! の映画悪

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「ゲーッ、悪い奴だなァ、あいつ!」

「劇映画を面白くしてくれるの魅力、それが映画悪

もし劇映画で悪を描くことが禁じられたら・・映画は死ぬ。人体の60パーセントは水分だというが、劇映画は60パーセント以上、悪で出来ているからだ(推定)。今回、鶴屋南北の歌舞伎から移植された古怪な悪(これが侮れない。現代とは世界観も倫理観も断然違うのだから)と現代映画最先端の万田邦敏による現代的悪とを参照しながら、劇映画における娯楽としての悪=映画悪の魅力と可能性を探りたい。

【タイムテーブル】

19:00~〔上映〕コラモンセレクト作品

①『タートル・マウンテン』(2009/32分/miniDV)

監督・脚本:とちかねたくま 
出演:海田晃弘 宮田亜紀 岡部尚 布川恵太 上馬場健弘
石井家当主の石井右内が殺され、家宝である拳銃コルトが奪われた。仇討ちを果たし、家宝のコルトを取り返すため、石井一族が仇敵、藤田水右衛門を追うが、次々と返り討ちに遭う。鶴屋南北の仇討物の傑作「霊験亀山鉾」をペキンパーのメキシコのイメージで翻案映画化。

②『菊と桜』学外初上映!(2010/15分/miniDV)

監督・脚本:西山洋市 
出演:米田弥央 岡田雄介 西山朱子 栩兼拓磨 金子和石
映画美学校の実習で、撮影1日・ロケ場所は学内のみという条件のもとに撮られた実験的短編劇映画。西山朱子監督『マルクス四谷怪談の巻』のメインキャストをそのまま流用(主役の米田弥央は除く)。鶴屋南北のピカレスク伝奇ロマン『桜姫東文章』を圧縮翻案した悪党もの。

③『葉子の結婚(土曜日)』(2009/13分/HDV)

監督:万田邦敏 
脚本:万田邦敏・万田珠実 
出演:森田亜紀 万田祐介 宮田亜紀 伊藤智之
映画美学校フィクション高等科6期卒業生に万田を加えた6人の監督による、日曜日に結婚式を控えた葉子と拓也、その周辺の人々の式前日までのエピソードが綴られるオムニバスの一篇。土曜日、結婚に不安を感じていた葉子は不思議な夢から目覚めると、読んでいたミステリ小説のあらすじを拓也に語る。それは小説の話なのか、自分自身の話なのか、境界が曖昧になってゆく。しかし、拓也の愛が葉子を現実に引き戻す。


20:05~〔トーク〕
トークライブwith万田邦敏

「映画にとってとはなにか?」

『接吻』『Unloved』などで独特の「悪」を描いてきた万田邦敏を迎えて「劇映画を面白くする悪」についてトーク!

万田邦敏 プロフィール
映画監督。1956年生。主な監督作品『Unloved』『ありがとう』『接吻』など。最新作『イヌミチ』公開準備中。


21:15~〔上映〕

『旧支配者のキャロル』(2011/47分/HDV)

監督・脚本:高橋洋 
出演:松本若菜 中原翔子 津田寛治 本間玲音 伊藤洋三郎
『女優霊』以来こだわり続けてきたバックステージを舞台に高橋洋が描く“真の人間ドラマ”。
「20世紀には恐怖だったものがドラマに変わる瞬間!」(Phew)


22:05~〔トーク〕

コラモンの本日のおまけトーク(15分)

「コラボ・モンスターズ!!」とは

高橋洋・西山洋市・古澤健の三監督による短編映画製作&上映プロジェクト。これからの時代の新たな「娯楽映画」開発のために上映と対話を繰り広げている。通称「コラモン」は2012年5月、『旧支配者のキャロル』『kasanegafuti』『love machine』の三本立て公開から出発した。現在、テーマによってプログラムを組み変えながら3作品の上映と他では聞けない映画トークを続行中。


高橋洋

1959年、千葉県生まれ。森崎東監督によるTVドラマ「離婚・恐婚・連婚」で脚本家デビュー。以降、映画やオリジナルビデオの脚本を多数手がけ、1995年『女優霊』(中田秀夫監督)の脚本を担当、同作は後のJホラーの礎となる。そして、『リング』(1998)では、原作小説を大胆に脚色、続く『リング2』(1999)、『リング0~バースディ』(2000)の脚本も手がけ、Jホラーを代表する脚本家としての地位を確立した。2004年には初の長編監督作品『ソドムの市』を発表。監督作として、中原翔子を主演に迎えた壮大なスケールの短編 『狂気の海』(2007)、Jホラーシアター・シリーズ完結編として制作された『恐怖』(2009)がある。脚本家としての主な作品には『復讐THE REVENGE 運命の訪問者』、『インフェルノ蹂躙』(1997)、『蛇の道』(1998)、『発狂する唇』(1999)、『血を吸う宇宙』(2001)、『おろち』(2008)など。著書には「映画の魔」(青土社)がある。


西山洋市

1959年、神奈川県生まれ。「おろし金に白い指」(高橋洋脚本、1991)、「ぬるぬる燗燗」(1992)、「ぬるぬる燗燗の逆襲」(1992)、「ホームビデオの秘かな愉しみ」(1993)など実験的なTVドラマでキャリアをスタート。1996年にピンク映画としてリメイクされた『ぬるぬる燗燗』も含めた「ぬる燗」シリーズは『桶屋』(2000)、『INAZUMA稲妻』(2005)、『死なば諸共』(2006)を経て『kasanegafuti』に至る「現代劇の皮をかぶった時代劇」の萌芽。97年の『痴漢白書劇場版II』は「青春メロドラマ」であった。その他の監督作に『完全なる飼育 愛の40日』(2001)、『稲妻ルーシー』(2004)、『運命人間』(2004)、『グロヅカ』(2005)、自主製作の『吸血鬼ハンターの逆襲』(2008)など。共同脚本作品として黒沢清監督『蜘蛛の瞳』(1998)、塩田明彦監督『月光の囁き』(1999)がある。


古澤健

1972年、東京都生まれ。大学卒業後に製作した『home sweet movie』が、1997年度のPFFで脚本賞を受賞。同年、映画美学校に入学し、黒沢清、高橋洋、塩田明彦らに学ぶ。1998年に卒業作品として監督した『怯える』がフランスのクレルモンフェラン短編映画祭に招待される。その後、演出助手として、黒沢清監督『回路』、瀬々敬久『RUSH!』等の現場に参加する。 2002年、瀬々敬久監督『超極道』で脚本家デビュー。黒沢清監督『ドッペルゲンガー』の脚本を経て、2004年『ロスト☆マイウェイ』で劇場用映画監督デビュー。主な監督作品に、『オトシモノ』(2006)、『トワイライトシンドローム デッドクルーズ』(2006)、『making of LOVE』(2010)がある。2011年公開の『アベックパンチ』での人気コミック映画化をはじめ、2012年には橋本愛主演作『Another アナザー』、武井咲主演作『今日、恋をはじめます』の2本のメジャー作品を手掛ける。