8歳下の弟がダウン症であることが、自分の人生に“居座っていた”という押田興将監督が、十年以上温め続け、やっとの思いで実現した本作。
終始一貫した明るい語り口ながら、障害者を取り巻く現実に時にシビアなまなざしを投げかける。“じめじめとした障害者もの”にはしたくなかったという監督の視点が、見ているこちらの障害者観を覆す。
主演はダウン症の実弟、押田清剛。監督のもう一人の弟、押田大がキヨタカの弟ヒロシを演じている。身を寄せあい、笑いあって生きるキヨタカとヒロシの兄弟愛が物語に温かみをプラスしている。
キャスト陣は、山田キヌヲ(『悪人』)、斎藤歩(『白夜行』)、品川徹、ベンガル、内田春菊ら味わい深い実力派俳優たちが兄弟をガッチリとサポートし、観る人をひきこんでいく。音楽は数多くの映画音楽を手掛け、世界的なターンテーブル奏者、ギタリストである大友良英。七尾旅人やクラムボンの原田郁子も参加し、極上のミュージシャンが奏でる主題歌「サンキュー窃盗団のテーマ」が映画に彩りを添えている。
撮影は町田市、川崎市、福島県、栃木県、山形県などで、撮影地の方々の多大な協力のもと、2009年6月から2010年5月まで、夏、冬、春のシーンを1年間に渡り行われた。撮影にかかわったすべての人々のあたたかさを感じられる作品となった。
毎日の忙しさに明け暮れる日々、ふと、大切なものを思い出させてくれる作品である。
▽『39窃盗団』予告編