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『アルゼンチン映画の秘宮 New Century New Cinema presents Cine Argentino vol.1』

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アカデミー賞や映画祭受賞作以外は日本に知られることはまるでないが、今世界で最も注目される国の一つ、アルゼンチンは伝統ある南米の映画大国である。ジョン・アルトンやグレッグ・トーランドの弟子たちによる光と影の撮影、ラロ・シフリンやガトー・バルビエリらを輩出したJazzyな音楽、時にボルヘスやコルタサルらも加わった文学的伝統を背景に持つ脚本……ヒューゴ・フレゴネーズからリサンドロ・アロンソまでを送り出したその歴史を見直してみると、軍政時代の暗い記憶やタンゴからくる一般的イメージを離れて、この映像的時代にダイレクトでリンクする同時代性を持った作品たちが見えてくる。このシリーズではそんなアルゼンチン映画の「陰の流れ」を追ってみる。

赤坂太輔(映画批評家)

【上映作品】

『キルケ Circe』(1964年/71分/日本語字幕付き/デジタル上映)
監督・脚本:マヌエル・アンティン 
原作・脚本:フリオ・コルタサル 
出演:グラシエラ・ボルヘス、アルベルト・アルヒバイ、ヴァルテル・ヴィダルテ、セルヒオ・レナン

デリアはマリオと恋に落ちる。だが、彼女には前の2人の恋人が謎の死を遂げた過去があった。映画は、過去と現在のあいだの時間が消滅しているかのように進行する。原作者でもあり脚本に参加しているフリオ・コルタサルは、デリアをギリシャ神話の魔女で男を食らい飽きると獣に変えてしまうキルケに喩えている。


【講演】

赤坂太輔(映画批評家)
1965年生まれ。ウェブサイト&シネクラブ「New Century New Cinema」主宰。「マノエル・デ・オリヴェイラと現代ポルトガル映画」(E/Mブックス)企画・執筆。近年は、イギリスの Sight & Sound、イタリアの La Furia Umana、ペルーのDesisitfilm、スペインのelumiere, 中央評論、nobody等に寄稿。2008年より立教大学講師。


【スケジュール】

17:00 – 1回目上映:『キルケ Circe』
18:20 – 講演:赤坂太輔
20:00 – 2回目上映:『キルケ Circe』


主催:New Century New Cinema、アテネ・フランセ文化センター、アップリンク
後援:在日アルゼンチン共和国大使館
協力:マヌエル・アンティン