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『ドストエフスキーと愛に生きる』公開記念写真展 言語をほどき紡ぎなおす者たち

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『ドストエフスキーと愛に生きる』公開記念写真展
“言語をほどき紡ぎなおす者たち───海外文学界の第一線で活躍する翻訳家9名の仕事場を訪ねて”

柴田元幸さん〔東京大学文学部・現代文芸論研究室にて〕

ドストエフスキーの新訳でドイツ文学界に旋風を起こした女性翻訳家の数奇な半生を追ったドキュメンタリー映画『ドストエフスキーと愛に生きる』の公開にあわせ、海外文学界の第一線で活躍する翻訳家9名の仕事風景をとらえた写真展を開催します。
(撮影/荒牧耕司[http://kojiaramaki.com])

──────登場する翻訳家9名──────

飯塚容さん(中国文学翻訳者)
いいづか・ゆとり 1954年生まれ。東京都立大学大学院修了。現在、中央大学文学部教授。専門分野は中国近現代文学および演劇。中国で「先鋒派」と呼ばれ多くの読者を得てきた余華(ユイ・ホア)や蘇童(スー・トン)、代表的な女性作家の鉄凝(ティエ・ニン)、ノーベル賞作家の高行健(ガオ・シンジェン)などの翻訳を手がける。2011年、中国新聞出版総署より、中国語書籍の翻訳分野で功績のあった外国人に贈られる中華図書特殊貢献賞を日本人では初めて受賞した。
きむふなさん(日本・韓国文学翻訳者)
金 壎我 1963年生まれ。韓国出身。ソウルの誠信女子大学大学院で日本文学を専攻。専修大学大学院日本文学科で博士号取得。韓国語・日本語双方向の翻訳をこなす。2008年、津島佑子『笑いオオカミ』の韓国語訳で板雨翻訳賞受賞。他にこれまで韓国語に翻訳した作家は辻人成、重松清、柳美里など。日本語訳出では、申京淑〔シン・ギョンスク〕、孔枝泳〔コン・ジヨン〕、韓江〔ハン・ガン〕、金愛燗〔キム・エラン〕ら、李箱文学賞受賞経験のある実力派女性作家たちの作品を数多く手がけている。
鴻巣友季子さん(英文学翻訳者)
こうのす・ゆきこ 1963年生まれ。お茶の水女子大学大学院前期博士課程在学中の一九八七年から出版翻訳の世界に入る。J・M・クッツェー、マーガレット・アウトウッドなどの翻訳を手がけるほか、文芸評論家、エッセイストとしても活躍。近著に『本の森 翻訳の泉』(作品社/2013年)、『翻訳教室──はじめの一歩』(筑摩書房/2012年)、『熟成する物語たち』(新潮社/同)、『孕むことば』(中央公論新社/同)、『本の寄り道』(河出書房新社/2011年)、『全身翻訳家』(筑摩書房/同)などがある。
柴田元幸さん(アメリカ文学翻訳者)
しばた・もとゆき 1954年生まれ。ポール・オースター、スティーヴン・ミルハウザー、スチュアート・ダイベックなどアメリカ現代文学の訳で知られる。2010年、トマス・ピンチョン著『メイスン&ディクスン』で日本翻訳文化賞受賞。村上春樹、川上弘美、古川日出男らを執筆陣に迎えた文芸誌『モンキービジネス』を2008年から2011年まで編集、2013年に『MONKEY』を創刊。また、英語版『MONKEY BUSINESS』を米国の出版社と共同で毎年発行し、日本文学の紹介に努めている。
沼野充義さん(ロシア・ポーランド文学翻訳者)
ぬまの・みつよし 1954年生まれ。ハーヴァード大学ティーチングアシスタント、ワルシャワ大学講師などを経て、現在、東京大学文学部教授。専門は19世紀~20世紀のロシアおよびポーランド文学。チェーホフ、ナボコフ、ブロツキー、シンボルスカ、レムなどの訳で知られる。著書の『〈徹夜の塊〉亡命文学論』で2002年サントリー学芸賞、『〈徹夜の塊〉ユートピア文学論』で2004年読売文学賞受賞。文芸評論および日本文学の海外への紹介にも積極的に取り組んでいる。
野崎歓さん(フランス翻訳者)
のざき・かん 1959年生まれ。東京大学文学部教授。フランス文学者。トゥーサン、ウエルベックらの翻訳で知られるほか、映画、文芸批評も手がける。専門であるネルヴァルを論じた『異邦の香り──ネルヴァル「東方紀行」論』(講談社/2010年)で読売文学賞を受賞。近著に『文学と映画のあいだ』[編](東京大学出版会/2013年)、『フランス文学と愛』(講談社現代新書/同)、『翻訳教育』(河出書房新社/2014年)、『映画、希望のイマージュ──香港とフランスの挑戦』(弦書房/同)などがある。
野谷文昭さん(ラテンアメリカ文学翻訳者)
のや・ふみあき 1948年生まれ。東京外国語大学大学院修了。東京大学名誉教授。ガルシア=マルケス、バルガス=リョサ、プイグら、現代ラテンアメリカ文学を代表する作家の翻訳で知られる。また、『予告された殺人の記録』(F・ロージ監督)や、ブニュエル『昇天峠』『エル』等の映画字幕翻訳も手がける。著書に『越境するラテンアメリカ』(PARCO出版/1989年)、『ラテンにキスせよ』(自由国民社/1994年)、『マジカル・ラテン・ミステリー・ツアー』(五柳書院/2003年)がある。
松永美穂さん(ドイツ文学翻訳者)
まつなが・みほ 1958年生まれ。東京大学独文科卒大学院修士課程修了。フェリス女学院大学国際交流学部助教授を経て、早稲田大学文学学術院教授。ベルンハルト・シュリンク『朗読者』(新潮社/2003年)で毎日出版文化賞特別賞受賞。文芸翻訳のほかに、ゼバスティア・メッシェンモーザー『リスと青い星からのおきゃくさん』(コンセル/2012年)など児童文学の翻訳も手がける。著書に『ドイツ北方紀行』(NTT出版/1997年)、『誤解でございます』(清流出版/2010年)がある。
和田忠彦さん(イタリア文学翻訳者)
わだ・ただひこ 1952年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。1999年より東京外国語大学教授。イタロ・カルヴィーノ、ウンベルト・エーコ、アントニオ・タブッキをはじめとするイタリア近現代文学の優れた翻訳者として定評がある。イタリア文化普及に貢献したとして、2011年度イタリア国家翻訳大賞を受賞。著書に『ヴェネツィア 水の夢』(筑摩書房/2000年)、『声、意味ではなく──わたしの翻訳論』(平凡社/2004年)、『ファシズム、そして』(水声社/2008年)がある。