イベント EVENT

トポス『生成する場所 / 映像上映+ダンスプログレス公演』

詳細 DETAIL

東京、バルセロナ、ロンドン。それぞれが異なる都市を拠点としながら世界各地で活動を展開する三人のダンサーと一人のアーティストによるオン・ゴーイング・ダンスプロジェクト「トポス」。身体表現をフィーチャーした短編映像6作品とアニメーション1作品が上映され、トポスの新作ダンス作品のワーク・イン・プログレス公演が行われる一夜限りのショーケースイベント。

我々は何処から来たのであるか、そして何処へ行くのであるか。

「すなわち旅はすべての人に多かれ少なかれ漂泊の感情を抱かせるのである。解放も漂泊であり、脱出も漂泊である。そこに旅の感傷がある」(三木清「人生論ノート」)

2017 バルセロナ / 石井順也は、パウ・アランと夢、希望、絶望を話しました。ホアン・ミロのシンプルな線を介して意識の動きを探り、そして西田幾多郎を精読する現地の大学生と深い交流をしました。
2018 東京、京都、ロンドン / 美術家尾角典子と石井順也は東洋と西欧の哲学の道を編み込んだ磁場を探求する往復書簡を続けてます。ピナ・バウシュ ヴッパータール舞踊団で踊り続けるパブロは世界中を周り、小暮香帆と9月に東京で初めて会います。不確かな時代にて、あえて決めなく、まず他者を観察し聞く。その繰り返しからの「漂泊の感情」を踊ります。

★OPEN FACTORY企画

トポス(石井順也、パウ・アラン・ジメーノ、小暮香帆、尾角典子)

『トポス』はバルセロナにて石井順也、パウ・アラン・ジメーノ、尾角典子が集まり開始され、その後東京で小暮香帆が加わる現在進行形のダンスプロジェクトです。異る場所に住み、異なる視点、個性、身体を持つ表現者が錯綜する場所であり、肯定できる未来を空想する過程をみなさまに共有しながら探求していく場所です。日本社会、スペイン社会、イギリス社会の分裂という現代史を目の当たりにした後、集団心理が作る社会的コードから距離を置き、自律した根茎組織のプロデュースを目指します。固定しない変化のプロセス(生成)にこそ可能性があると考え、不確かな時代に、他者を観察し、聞くことを通してコミュニケーションと心を育みます。


第1部:映像上映 (30分)

『Interpreter』尾角典子(2015年/6分29秒/イギリス・ダービー)

The Interpreterはイギリス、ダービー州で制作した22枚のタロットカードと連動している22個のシーンから成り立つ映像作品。各シーンはダービーにまつわる歴史や民話を元に作られており、始めに登場する愚者が残りの21枚を旅し智慧を身につけていくという物語の構造になっている。

『ホライゾン』監督:ダニエル・サントナー、出演:石井順也(6分20秒/ハンガリー、ホルトバージ国立公園)
“HORIZON” (2008/2017) 06:20 Cinematograph: Daniel Szandtner, Dance: Junya Ishii

ホルトバージは、プスタと呼ばれるハンガリー東部、 ドナウ川の中流域に広がるユーラシア平原である。 この映像は強い風が吹き、地平線が見渡せ、渡り鳥がひっきりなしに上空を通る荒涼とした場所で、石井順也が衝動に駆られダンスをした記録である。

『浸食 / バルデナス・レアレス』撮影・出演:石井順也(3分57秒/スペイン、バルデナス・レアレス)
“Erosion / Bardenas Reales” Cinematograph / Dance: Junya Ishii

「バルセロナに滞在中に、パウロ・コエーリョの「アルケミスト 夢を旅した少年」を夢中に読んでいた。また尾角典子と「トポス」のコンセプトを練っていた。出てきたキーワードは砂と記憶であった。僕なりに前兆に従って、車を西へ走らせ、辿り着いた場所は粘土、砂岩、石膏が風や水に浸食された砂漠だった。月面のようであり、沈黙が聞こえる場所で踊った」(石井順也)

『Étude 5』パウ・アラン・ジメーノ(8分12秒/スペイン)
“Étude” Dance: Pau Aran Gimeno (Spain)

『KOFA (Korean Film Archive) Trailer』監督:キム・ジョングァン(1分33秒/韓国)
“KOFA (Korean Film Archive) Trailer” Short film by Kim Jong-kwan (Korea)

『ソラミミ』監督:デイジー・ディキンソン&ジュリアン・レード(3分33秒/金沢、屋久島、長野)
“Soramimi” Short Film by Daisy Dickinson & Julia Laird (UK / Japan)

『みずのきれいな湖に』監督:吉開菜央、出演:小暮香帆(8分53秒/北海道支笏湖)
“Across the water” Short Film by Yoshigai Nao, Dance: Kaho Kogure (Japan)

水面に手をつけると波が立つ。波が広がると風が吹き、雲ができれば雨が降る。雨粒が大きな湖になって、そこに立つ者のからだを包み込む。わたしたちは、水に生かされもすればきっと殺されもする。姿形を変えながら、地球を縦横無尽に巡る水に、いつかわたしも取り込まれる日がくるだろう。雨の降り止まない湖のほとりで、水や、その周りにある空気に身をゆだねて舞うからだを捉えた、ダンス・フィルム。


第2部:ワークインプログレス、ダンス公演(30分)

『トポス ダンスプログレス公演』

演出:石井順也、振付:パウ・アラン・ジメーノ
出演:小暮香帆、石井順也

石井順也|Junya Ishii

写真:喜多村みか

ダンサー、俳優。1983 年生まれ。幼少期はメキシコとカナダで育つ。立教大学文学部卒業後、ハンガリーを拠点に旅を続けながら音楽家、映像作家、美術家とセッションを重ねる。セルビア・カニジャで振付家ジョセフ・ナジに出会い『Length of 100 Needles』 (2009) などの作品に出演、 欧州ツアーに参加した。舞踊作品 『アサガオ』 (2013) を作曲家アルベルト・ マルコスと共作しブダペストで発表。俳優としては、 加藤直輝監督作品『2045 Carnival Folklore』(2015年シアトル国際映画祭正式出品、バルセロナ・カサ・アジア映画祭等招待作品) に主演。2016年に配給団体PLATAUXを設立。2017年文化庁新進芸術家海外研修員 (スペイン)。直感を大事にし、自分の目で見て、考えたことを書くように心がけ、ダンスをその延長線上に捉えて独学を続けている。現在東京在住。
http://junyaishii.com/

パウ・アラン・ジメーノ|Pau Aran Gimeno

写真:Criztiane Azem

1981年スペイン、バルセロナ生まれ。2005年よりピナ・バウシュ・ヴッパタール舞踊団の専属ダンサーとして活動を始め、現在まで多くの作品に出演をしている。ソロダンサーとしては、『AT 17 CENTIMETERS』 (2013)などの作品を発表し、また世界各地でワークショップを行い、多数のプロジェクトに積極的に参加している。これまでに『春の祭典』、『コンタクトホーフ』、『私と踊って』、『カーネーション NELKEN』の来日公演に出演。ヴィム・ヴェンダース監督『Pina/ ピナ ・ バウシュ 踊り続けるいのち』でも、ソロダンスを披露している。
https://www.pauaran.com/

小暮香帆|Kaho Kogure

写真:FILM SESSIONS

ダンサー、振付家。1989年生まれ。これまでに笠井叡をはじめ、多数の振付家の作品に出演。イタリア、インドネシア、メキシコ、リトアニアのツアーに参加した。2012年日本女子体育大学卒業後、本格的にソロ活動を開始。ソロ公演『遥かエリチェ』(2013)、『ミモザ』 (2015) を国内外で発表する。また舞台のみならずLIVE、映画、MVに出演するなど、活動は多岐にわたる。第2回セッション・ベスト賞、2015年横浜ダンスコレクションEX2015コンペティションI奨励賞、第6回エルスール財団新人賞受賞。めぐりめぐるものを大切にして踊っている。
http://kogurekaho.com 

尾角典子|Noriko Okaku

写真:高比良美樹

短編アニメーション作家/アーティスト 京都市生まれ。ロンドン在住。
英国のチェルシー大学でファインアートメディア、ロイヤルカレッジオブアートでアニメーション修士を学ぶ。コラージュ手法により断片的な図像の思いがけない組み合わせにより夢幻的な寓話を紡ぎ出すのを得意とする。 カッセル・ドクメンタ(ドイツ)、 エンカウンター映画祭(イギリス)、オーバーハウゼン国際短編映画祭(ドイツ)、ロンドン国際アニメーション映画祭(イギリス)、アンドレイ・タルコフスキー国際映画祭(ロシア)、onedotzero (イギリス)、オタワ国際アニメーションフェスティバル(カナダ)など国際的な映画祭での入賞歴多数。 また、近年では東京、デンマーク、イギリス、ドイツなどで個展やグループ展に参加するなど、アーティスト活動も活発に行っている。
http://www.norikookaku.com/

キム・ジョン・グァン|Kim Jong-kwan

1975年、ソウル生まれ。成瀬巳喜男からの影響を公言し、繊細な感情の起伏を独特なタッチで描く。『ポラロイドの作動法』(2003)、『遺品』(2014)など短編映画を多数制作している。『もう少しだけ近くに』(2010年)から長編映画を撮り始め、コメディ映画「最悪の女」(2016)でモスクワ国際映画祭国際の批評家連盟賞を受賞。最新作「ザ・テーブル」(2017)は、公開5日にして4万人の観客を突破するなど、現在韓国の独立映画界で注目されている映画監督、脚本家である。

デイジー・ディキンソン|Daisy Dickinson

ロンドンを拠点に活動し、実験短編映画、ミュージックビデオ、インスタレーション、ライブ・ヴィジュアル・パフォーマンスを専門する映像作家である。ディキンソンの映像は「マグマが噴火しているように、コスモロジカルであり超自然的である。地球に対する驚異を官能的に丁寧に描いている。」と評されている。これまでに、BFIロンドン映画祭、レインダンス、ロンドン短編映像祭、ニューヨーク短編映画祭など多数の国際映画祭で上映されている。またオーディオ・ヴィジュアル・ユニットAdrena Adrenaとして ICA(ロンドン)、CERN(ジュネーヴ)を始めとする会場、ギャラリーでライブパフォーマンスを披露し続けている。 www.daisydickinson.co.uk

日本・スペイン ダンスプロジェクト 「トポス」
<主催>TÓPOS DANCE
<協力>PLATAUX, Colectivo La Perdición, 公益財団法人セゾン文化財団、CASA ASIA
<助成>平成 30年度文化庁 「アーティスト ・ イン ・ レジデンス活動支援を通じた国際文化交流促進事業」、平成29年度新進芸術家海外研修制度
<後援>駐日スペイン大使館

【お問い合せ】
tokyo@toposdance.info
http://toposdance.info/