『天秤リストカット』(2016年/54分/監督: じゅりあなたけし)
リストカット、オーバードーズ、家庭内暴力、性的虐待、人間不信 、自殺願望…。
おびただしい闇をかかえた二人の女性にカメラを向けた。人生グラフを用いたポップな対話により彼女たちの深淵をえぐり出していく 。
マツコの知らない世界と悪魔のヴァイオリンの血のコンチェルト。リスカと血のダメな人にはお勧めしません。監督の被写体に対する距離感と逃げずに歩み寄る姿勢が凄い! ドキュメンタリーと演出の曖昧さが問題になっている最近では真実のドキュメンタリーだと思う。これ、演出は無理でしょ!
─── ジーコ内山(俳優・映画ライター)
たけしくん、最近の僕は「UA」のライブに行きました。UAが好きな友人がチケットを取ってくれたのですが、当日、友人は急用で来れませんでした。UAに思い入れがない僕は、迷いましたがライブに行きました。唯一知ってる「情熱」という歌を聞いたら帰ろう。とライブに行きましたが、最後まで「 情熱」が歌われないままライブが終わりました。でも、途中のMCでUAの最近の趣味が「種蒔き」という事が知れてUAを好きになりました。「悲しみジョニー」も情熱的で好きになりました。そんな感じで完成おめでとうございます。
─── ビーバップみのる(AV監督)
世間を騒がせた新興宗教の信者である母に軟禁されている娘。大学の演劇部でアイドルの元カノのセクハラ、そして先輩演出家のパワハラを、日夜受け続けるひきこもりの男。そんな二人のネットを介した交流。息苦しく、ひどく滑稽な世界で生きる女と男を独特なリアリズムで描いたドラマ。
現在の自分を表現する。むずかしいことだ。『閉塞』 はそれを突き破った。空気ボールを水中深く沈めるためには全身の体重をかけなければならない。だから、放たれたボールは水中から空へ飛びだすのだ。『閉塞』はその軌跡を描いている。暗いイメージのタイトルだが解放感あふれる映画となった。中村衣里監督がもがき苦しみ溺れる寸前に空気を吸い込んだ。その様はまさに今を生きるわれわれを撃つ。映画の奇跡を楽しみたい。
─── 小林茂(ドキュメンタリー映画監督・和光大学教授)
僕のゼミに在籍していた中村衣里の作品は、可愛らしい顔とは裏腹にいつも血と内臓が溢れていた。しかし、彼女はスプラッター映画を作っている訳では無い。身体から立ち昇った欲求を素直に描写しているだけなのだ。この『閉塞』という作品も、静かな内なる叫びを愚直なまでに結晶させている。だから、どこを切っても中村衣里の鮮血が噴き出してくる。気力が弱っている時は、『閉塞』みたいな生身の映画に近づいてはいけない。
─── 高橋巖(映画監督)