「人が持ち得る強さに心を打たれ、それぞれの人生を精一杯生きる人たちを愛おしく感じながら撮っていました。これは福島の真実を写したのではなく、何があっても自分らしくいきようと模索しながらも進んでいっている人たちを写した映画です」(椎木透子/『スレッショルド:福島のつぶやき』監督)
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『スレッショルド:福島のつぶやき』(2015年/HD/90分)
監督・編集・撮影・制作:椎木透子
撮影:クリス・アサディアン
音楽:エリック・サントス
KAMUNA(たくきよしみつ+吉原寛治)
遠藤元気+エリック・サントス(『スレッショルド:福島のつぶやき』音楽担当)Duo
トーク出演
遠藤元気(山木屋太鼓)
たくきよしみつ(作家/ミュージシャン)
椎木透子(『スレッショルド:福島のつぶやき』監督)
▼南相馬市立原町第一中学校吹奏楽部顧問の阿部和代先生と吹奏楽部の皆さん
震災の年、練習場所もままならない中、諦めずになんとか練習を続け、全国大会で最優秀賞を受賞。 『あきらめない』をモットーに日々音楽を奏で続ける。
▼自給自足 『獏原人村』 管理人の風見マサイさん
獏原人村創立者「管理人」。1970年代後半に自給自足の村を作ろうと全国各地を回る中で福島県に辿り着く。自らの手で水を引き、太陽光から電気をまかない、田畑を耕し、鶏達と猫、妻と暮らしていた中で震災/原発事故に遭う。
▼かえるのおじさんとも呼ばれる作家のたくきよしみつさん
作家・ミュージシャン。福島生まれ。小説『マリアの父親』にて文学界入りする。川内村の自宅で震災/原発事故に遭う。自分達が生きている場所を如何により良くできるか、より意味のある人生を送ることができるのかを考えていって欲しいと伝え続ける。
▼「大工の愛ちゃん」でも知られる大塚愛さん
マサイさんの獏原人村に20代の時に辿り着き、自ら小屋を作って住み始め、結婚し、家族も増え、田畑を耕し、全て手作りで和気あいあいと生活していた中で震災/原発事故に遭う。事故後、故郷である岡山に戻り、福島の子供達の保養のサポート等を行っている。
▼故郷への想いを太鼓で伝える山木屋太鼓の皆さん
震災後、現在に至るまで避難先にて暮らしつつ、山木屋太鼓として演奏を続ける。練習場所も時間もない時期もあったが、諦めずに太鼓を叩き続け、全国各地で公演を続ける。メンバーの年齢に幅があるものの、子供達も大人顔負けのパワフルな太鼓の演奏を披露している。
▼福島の為、奔走する元原発社員の吉川彰浩さん
東電学園高等部卒業後福島第一原子力発電所に配属された。福島県第二原子力発電所で被災し、復旧業務は第二原発内で行っていた。2012年に東京電力を退職し、原発内で実際に働く人達、そして現地の人達をサポートする為「一般社会法人AFW」を創立し「次世代に託せる”ふるさと”を描く」活動を現在に至るまで続けている。
「フクシマ」の問題はとても複雑かつデリケートで、どんなに言葉を尽くしても実情や問題点を正確に伝えるのは困難です。特に、テレビ番組や映画などの映像作品は、見る者の好奇心を刺激したり同情や怒りを呼び起こそうという意図の元に編集されるものが多く、私自身、編集で歪曲されるのがいやなので、今では基本的に取材や出演依頼には応じていません。 「あれ」が起きた当時とは現場の「空気」もずいぶん変わってきました。福島の人たちの口もどんどん重くなっています。怒ってもどうにもならないという諦めや、下手に口にすることで問題を悪化させてしまう、ますます人間関係が分断されてしまうことへの恐れから、どうしても「沈黙は金」になっていきます。
そんな中で、椎木監督が完成させたこの映画は、とてもユニークな存在と言えるでしょう。説明を極力省き、淡々と「つぶやき」や「演奏」(!)をつないでいくという手法。 もしかするとこれは「フクシマ」の映画ではないのかもしれません。「フクシマ」が舞台とはなっているけれど、テーマは「原発事故」とか「故郷喪失」とか、そういうことではなく、生きるとはどういうことか、という根源的なものでしょう。人それぞれに「生きる」意味、生きがい、人生の目標は違います。だから、これが正しい、これは間違いだということは簡単に言えません。「フクシマ」を経験した今は、そのことを痛感しています。奇しくも、私を含めたメインの出演者全員がその点では同じことを言っていますね。みなさんも、ぜひ先入観や予備知識を一旦捨てて、この映画を見てみてください。そして、自分の生き様や価値観と重ね合わせて、この地球という星に生まれ、生きていくことの意味を改めて見つめてみる……そんな時間を持つきっかけにしてもらえたら、この映画は成功だと思います。