現代アルゼンチン映画作家を代表する一人グスタボ・フォンタン。イメージとサウンドによる音楽的な彼の作品は、作家で詩人でもあることや、垣間みられるゴダール、タルコフスキー、エリセ、ブラッケージら先達からの影響にとどまらない豊かさを見てとることができる。それはいわゆる<映像詩>的なジャンルや、メディアの限界に閉ざされることのない開放感に観客を送り届けてくれるのである。
赤坂太輔(映画批評家)
18:15開場/18:30上映『ラ・カサ/家』(57分)
19:45開場/20:00上映『底の見えない川』(61分)+講演:赤坂太輔(映画批評家)
●日本語・英語字幕付き
●各回入れ替え制
『ラ・カサ/家』(2012年/61分)※DVD上映
La Casa
監督:グスタボ・フォンタン
撮影:ディエゴ・ポレリ、グスタボ・スキアフィーノ
録音:ハビエル・ファリナ
編集:マリオ・ボキーキョ
ブエノスアイレス州バンフィエルドにある監督自身の生家をとらえるカメラは、今は誰も住んでいないが家族の記憶に満ちた部屋、事物、光、物音、映像それ自身から、かつて人々の生きた時間へと遡行していく。だがその運動は不意に断ち切られる。
フアン・L・オルティスの詩に想を得た作品。川をたどるカメラはやがて鬱蒼としたエントレ・リオスの森の中へ、オルティスのドキュメンタリーからの引用コラージュを通過して、いつ果てるとも知れないさまよいの旅へと向かう。
■主催
New Century New Cinema
アテネ・フランセ文化センター
渋谷アップリンク