イベント EVENT

『鎌田浩宮 福島・相馬に行く』

詳細 DETAIL

「福島だから何でも推薦するっていう訳ではなくて、
これはとても面白くできていて、
ぜひ観てほしいドキュメンタリー映画になっています。」

坂本龍一さん

(J-WAVE「RADIOSAKAMOTO」2014年7月6日の放送より)

がれきがひとつも出てこない、震災の映画。

鎌田浩宮の27年来の友人、杉本敏之は福島県相馬市にある実家に戻り、その地で職に就き、生活していた。
鎌田はかねてから相馬へ行き、杉本家の皆と親しくしていた。
そして、2011年3月11日。
連絡が取れず、約1週間後にようやくお互いが生きていることを確認。
しかし、その翌年、同居していた敏之の祖母が、亡くなる。
鎌田も、息子同然に育てていた愛猫が、震災で体調悪化、亡くなる。
お互いが悲しみのどん底にある中、鎌田は杉本家を訪れる。
目的はただ1つ。
敏之の父・紀男のレース鳩小屋を除染する事!
しかし再会してしまえば、悲しみは消えたかのように、放射線量も高い中、陽気に毎晩酒を酌み交わし、除染していない畑の野菜を食い、歌を歌い…。


【解説】
今や200はあると言われる、東日本大震災、ひいては原発事故を扱った映画。
しかし、テレビで震災や原発事故の特番があると、観ているのがつらく、苦しく、ついチャンネルを回してしまう。
苦しんでいる人だって、被災者の皆さんだって、たまには楽しく、豊かに、酒を酌み交わしたい。
しかし、何かをしようとすると、自分より苦しんでいる被災者もいるんだ、と自粛になる。

「がんばろう東北」
という言葉が、大嫌い。
皆、頑張っているに決まってるじゃないか。
頑張れないから、つらいんじゃないか。

「絆」
という標語も、大嫌い。
震災も原発事故も風化して、再稼働に東京オリンピックに、うつつをぬかし。

そんな中、東北楽天イーグルスの優勝があり、「あまちゃん」の大ヒットがあり、ようやく被災者の皆さんも、自分たちを祝いだした。

もう、自粛しない。
楽しく、豊かに、自分の生きたいように、死ぬまで生きるのだ。


『鎌田浩宮 福島・相馬に行く』(80分)
出演 杉本紀男 杉本敏之 チャコ 鎌田浪 鎌田浩宮 他
監督 大友太郎・鎌田浩宮・菅野宏彰
撮影 菅野宏彰・平野哲郎
編集・構成 大友太郎
タイトルデザイン 井上綾
協力 NPO法人日本記録映像振興会
音楽 鎌田浩宮


『自然体のドキュメンタリー映画で、
撮る側、撮られる側の信頼関係がとてもよく感じた。
自分の生活、日常のいろいろなことを 改めて、考えさせられた。
「死ぬまで生きる」 心にずしりと凍みました』
(相馬での先行上映、観客アンケートより)
東京都在住の音楽家で映画監督の鎌田浩宮さんが撮影したドキュメンタリー映画「鎌田浩宮 福島・相馬に行く」は6日、相馬市の市民会館で上映される。
「がれきが一つも出てこない震災映画」として、同市内陸部の程田在住で、鎌田さんと親交のある杉本紀男さん、杉本敏之さんの3人の日常や前向きな姿を捉えたもの。
鎌田さんは、原発による避難や津波など直接震災に関連する被害には遭っていない人たちを撮影したいとの思いで作品を作り上げたという。鎌田さんは「震災を風化させてはだめだし、復興を一つのブームで終わらせてはいけないとの思いがあった。震災で全てを自粛することにも違和感を感じていた。震災を、そこに住む市民が心で理解しつつ、酒を飲み、前向きに自然体で生きている様子や、家族愛を見てほしい」と話している。
(福島民友 2014年4月3日掲載)